時空生物学講座
発生エピジェネティクス研究室
平谷 伊智朗 教授
キーワード:
ゲノム3次元構造、DNA複製、発生・分化、1細胞ゲノミクス
DNA複製とゲノム三次元構造を軸に、ゲノム制御の原理を解き明かす
メンバー
| 平谷 伊智朗 教授 | hiratani.ichiro.fbs[at]osaka-u.ac.jp |
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Q&A
- 現在注目しているテーマは何ですか?
- 遺伝子発現をはじめとする様々なゲノム機能を支えるゲノム3次元構造が、時空間的にどのように制御されているのかを理解したいと考えており、これと密接に関連するDNA複製タイミングを切り口に研究しています。これまでの研究から、ゲノム3次元構造とDNA複製制御は発生段階や細胞種に応じて柔軟に変化し、しかも両者の変化には強い連動性がみられることから、両者が協調的に制御されている可能性が見えてきました。今後は、マウス初期胚に特に注目しながら、この柔軟性と協調性の分子基盤と生物学的意義を探り、多様な細胞がゲノム機能を正しく発現しながら、ゲノムを安定的に維持・継承する仕組みに迫りたいと考えています。
- 最新のブレイクスルー、研究成果について教えてください。
- 自ら開発したDNA複製タイミングの全ゲノム解析法を、2019年に共同研究者とともに1細胞解析技術scRepli-seqへと発展させることができました(Takahashi et al., Nat Genet 2019)。この独自手法を用いることで、発生・分化に伴うDNA複製動態を1細胞レベルで明らかにし、そこからゲノム3次元構造の動態を推定することが可能となりました。そこで、ES細胞分化、マウス初期胚発生、不活性X染色体形成過程などをモデルに研究を進めた結果、DNA複製制御の仕組みが、これまで考えられていた以上に多様性と柔軟性に富むことを明らかにしました(Miura et al., Nat Genet 2019; Poonperm et al., Nat Struct Mol Biol 2023; Takahashi et al., Nature 2024)。さらに最近、細胞分裂後のG1/S期に、染色体の秩序だった3次元構造が再構築されることが、その後のDNA複製の制御に重要な役割を果たすことも明らかにしました(Oji et al., Nat Commun 2026)。
- どのようなバックグラウンドを持つメンバーで研究を進めていますか?
- 生命科学系の学部を出た人が多いですが、それ以外のバックグラウンドを持つ人や海外出身のメンバーもおり、多様なメンバーで研究を進めています。実験生物学だけでなく、ゲノム解析やバイオインフォマティクスなど、様々なアプローチを組み合わせて研究しています。
- 国内外の研究機関との連携について教えてください。
- 国内外の様々な研究室と共同研究を通じて連携しています。また、いわゆる大規模な学会だけでなく、小〜中規模の研究集会にも積極的に参加しています(個人的には、こういう研究集会が一番楽しいです!)。自らそのような研究集会を企画することもあります。最近では、アジア各国のエピジェネティクス・ゲノム研究分野の研究者とも交流があり、国際研究集会の企画などを通じてネットワークを築いています。
- 研究室から巣立った人たちはどのような道を歩まれていますか?
- アカデミアに進む人が多く、大学教員、海外研究機関のポスドク、大学院博士課程への進学など、それぞれの興味やキャリアに応じた道に進んでいます。
- 今後どんな展開が期待されますか?
- ゲノム・染色体の奥深さに魅了されています。独自技術と若い人の柔軟な発想を組み合わせ、私たちの遺伝情報の本体であるゲノム・染色体の理解をさらに深めていきたいと思っています。基礎研究、応用研究、技術開発など様々な角度から、これまで以上に新しく面白い展開が生まれることをとても楽しみにしています。
研究成果
論文、総説、著書
2026年
Cell-cycle-resolved Hi-C reveals unexpected plasticity of A/B compartments across interphase.
eLife 15, RP110073 2026 ( DOI:10.7554/eLife.110073)
Single-cell mapping of chromosome breaks identifies multiple fragile site classes with distinct DNA replication timing landscapes.
Nat Commun 17, 9055 2026 (PMID:42778573 DOI:10.1038/s41467-026-76451-1)
Nuclear compartmentalization at the G1/S transition plays a key role in DNA replication control.
Nat Commun 17, 6961 2026 (PMID:42575893 DOI:10.1038/s41467-026-75264-6)
Regulation of DNA replication and 3D genome organization during early embryogenesis.
Curr Opin Genet Dev 98, 102469 2026 (PMID:41955751 DOI:10.1016/j.gde.2026.102469)
2025年
scRepli-RamDA-seq: a multi-omics technology enabling the analysis of gene expression dynamics during S-phase.
Nat Commun 16, 10902 2025 (PMID:41397953 DOI:10.1038/s41467-025-64688-1)
2024年
Embryonic genome instability upon DNA replication timing program emergence.
Nature 633, 686-694 2024 (PMID:39198647 DOI:10.1038/s41586-024-07841-y)
2023年
Replication dynamics identifies the folding principles of the inactive X chromosome.
Nat Struct Mol Biol 30, 1224-1237 2023 (PMID:37563439 DOI:10.1038/s41594-023-01052-1)
2020年
Mapping replication timing domains genome wide in single mammalian cells with single-cell DNA replication sequencing.
Nat Protoc 15, 405-4100 2020 (PMID:33230331 DOI:10.1038/s41596-020-0378-5)
2019年
Single-cell DNA replication profiling identifies spatiotemporal developmental dynamics of chromosome organization.
Nat Genet 51, 1356-1368 2019 (PMID:31406346 DOI:10.1038/s41588-019-0474-z)
Genome-wide stability of the DNA replication program in single mammalian cells.
Nat Genet 51, 529-540 2019 (PMID:30804559 DOI:10.1038/s41588-019-0347-5)
連絡先
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1-3
大阪大学大学院生命機能研究科
E-mail: hiratani.ichiro.fbs[at]osaka-u.ac.jp(平谷 伊智朗 教授)
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