FBSコロキウム 247回細胞内膜動態研究室
講演 |
リソファジーの評価系構築と分子機構解析 久万亜紀子[細胞内膜動態研究室] 損傷リソソーム修復で働く転写因子TFEBの新奇制御機構と生理学的意義 中村修平[細胞内膜動態研究室] |
---|---|
日時 | 2020.9.10(木)12:15〜13:00 |
場所 | Zoomでのオンラインセミナーとなります:参加に必要なサインイン情報等は当日の午前中に、関係者へのメールにてアナウンス致します。 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
濱崎万穂 |
リソファジーの評価系構築と分子機構解析
オートファジーは細胞質成分を二重膜構造体(オートファゴソーム)で包み込み、リソソームへ運んで分解する細胞内システムである。当研究室では、損傷したリソソームをオートファジーが選択的に隔離するリソファジーという現象を発見しているが、その分子機構は不明な点が多い。また最近では、オートファジー以外にもESCRT複合体や転写因子TFEBを介した経路が損傷リソソームの修復に働くことが報告されている。これまでのリソファジー評価系ではこれらの経路とリソファジーを区別して評価することができないため、我々はリソファジーを特異的にモニターする評価系を構築した。また、独自のスクリーニングでリソファジー関連候補因子を同定し、リソファジーへの関与を調べている。
損傷リソソーム修復で働く転写因子TFEBの新奇制御機構と生理学的意義
リソソームは様々な要因で損傷を受けることが知られている。損傷を受けたリソソームは有害となるため、細胞はリソソーム損傷応答と総称されるプロセスでこれに対処し、リソソームおよび細胞の恒常性を保っている。リソソーム損傷応答には以前我々が同定した損傷リソソームを隔離・修復するオートファジー(Maejima et al., EMBO J, 2013)(リソファジーと呼ばれる)や、転写因子TFEB活性化によるオートファジー・リソソーム生合成の誘導などのいくつかのプロセスが含まれるが、これらの間のクロストークについてはよく分かっていない。我々は最近、リソソーム損傷時のTFEB活性化に特定のオートファジー制御因子の働きが必要であること、そしてこの新奇のTFEB制御メカニズムはリソソーム損傷を伴うシュウ酸カルシウム腎症などの病態抑制に必須の働きをしていることを見出した(Nakamura et al., Nat Cell Bio, in press)。本セミナーでは我々が明らかにしたこれら予想外のクロストークについて紹介したい。