FBSコロキウム 390回組織生化学研究室
講演 |
軟骨無形成症におけるFGFR3異常シグナルが成長板軟骨細胞の幹細胞性破綻を引き起こす分子機序の解明 堀家 なな緒[助教|組織生化学研究室] |
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日時 | 2025年7月1日(火)12:15〜13:00 |
場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
山下 晃弘(助教) |
軟骨無形成症におけるFGFR3異常シグナルが成長板軟骨細胞の幹細胞性破綻を引き起こす分子機序の解明
軟骨無形成症は、成長板軟骨における線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)の機能獲得型変異により発症する代表的な骨系統疾患であり、四肢の短縮を特徴とする。この疾患におけるFGFR3シグナルは、骨が伸びるために必要な成長板の細胞増殖や分化の制御に関与していることが知られているが、どのように骨の成長が止まってしまうのか、その詳しい仕組みは十分にわかっていなかった。我々の研究では、ヒト疾患に相当するFGFR3変異を導入したノックインマウスを新たに作製することで、成長板内で特定の領域が異常に拡大し、骨の長さが顕著に短縮することを明らかにした。さらに、細胞系譜解析を通じて、FGFR3シグナルの過剰活性が骨の成長を担う幹細胞様細胞の自己複製や分化の能力を損ない、成長障害に寄与することを示した。本セミナーでは、これまで注目されてこなかった成長板内の特定領域における病態メカニズムと、またそれに対する新たな治療の可能性について紹介する。