FBSコロキウム 367回がん病理学研究室
| 講演 | 
                                 RNAスプライシング異常に伴う発がん機構 井上 大地 [がん病理学研究室|教授]  | 
            
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| 日時 | 2024年10月15日(火)12:15〜13:00 | 
| 場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 | 
| 言語 | 日本語 | 
| 世話人 | 
                 井上 大地(教授)  | 
            
RNAスプライシング異常に伴う発がん機構
複雑怪奇な「がん」の病態や治療標的を理解する上で、「考えて辿り着く」領域を超える手法が求められている。臨床検体の解析・古典的な生体モデル作成に加えて、CRISPR技術を用いたスクリーニング解析などデータドリブンな手法を組み合わせることで、予想もしない発がん機構が明らかになってきた。例えば、がん細胞において転写後RNAレベルで遺伝情報が歪められ、重要な遺伝子の機能が喪失したり変容することが捉えられており、新病理に基づく治療応用が期待されている。これまでに、RNAスプライシング異常に端を発して、シグナル、クロマチン構造や転写因子がダイナミックに変化して、幹細胞の転写プログラムおよび運命制御の破綻をきたし発がんの原因となることを示してきた(Inoue et al. Nature 2019, Inoue et al. Nature Genetics 2021, Tanaka et al. Blood 2022, Xiao et al. Nat Commun 2023など)。本講演では、古くて新しい「がん病理学」教室として、病態理解と治療応用に向けた取り組みについて紹介したい。
