FBSコロキウム 338回染色体生物学研究室
講演 |
染色体分配を支えるセントロメア/キネトコア分子構造体の動的制御 有吉 眞理子(染色体生物学研究室・特任助教) |
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日時 | 2023年10月17日(火)12:15〜13:00 |
場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
堀 哲也(准教授) |
染色体分配を支えるセントロメア/キネトコア分子構造体の動的制御
細胞分裂の際、親細胞の染色体は正確に複製、倍加され、娘細胞へ均等に分配される。この染色体分配を制御するのは、セントロメアと呼ばれる特殊な染色体領域と、その領域に形成されるキネトコアと呼ばれる多数のタンパク質からなる超分子構造体である。セントロメアは、ヒストンH3バリアントであるCENP-Aを含むヌクレオソーム(CENP-Aヌクレオソーム)によってエピジェネティックに規定される。セントロメア上に形成されたキネトコアは、分裂期になると染色体移動装置である紡錘体微小管を連結し、精確な染色体分配を促進する。従って、正常な染色体分配を維持するためには、セントロメアに限定されたキネトコアの構築と細胞周期と厳密に同調した染色体と紡錘体微小管の連結が必要とされる。我々は、キネトコアによる染色体分配の空間的・時間的制御を支える仕組みの解明に向けて、CENP-A ヌクレオソームを認識する2つのニワトリ由来タンパク質、CENP-CとKNL2の構造機能解析を行なった。今回のコロキウムでは、我々の最近の知見に基づき、キネトコアの可塑性、細胞周期と連動した動的な分子会合制御の分子基盤について考察する。