FBSコロキウム 186回日本電子YOKOGUSHI協働研究所
講演 |
クライオ電子顕微鏡による構造解析の現状と展望 加藤貴之[日本電子YOKOGUSHI協働研究所] クライオ電子顕微鏡による構造解析の現状と展望 宮田知子[日本電子YOKOGUSHI協働研究所] |
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日時 | 2018年5月30日(水)12:15〜13:00 |
場所 | 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
世話人 |
加藤貴之(日本電子YOKOGUSHI協働研究所) |
クライオ電子顕微鏡による構造解析の現状と展望
X線結晶構造解析、NMR、クライオ電子顕微鏡は、タンパク質や核酸など生体高分子の構造決定における3種の神器である。それぞれ得られる分解能、試料の状態、分子量等に一長一短はあるが、中でもクライオ電子顕微鏡はその守備範囲の広さの点で他の手法を凌駕する。数年前までは得られる分解能が10Å程度と低く、詳細な構造を明らかにすることができなかったため、一部の研究機関でのみ開発・利用されている特殊な技術としての色合いが濃かった。しかし、2013年頃に登場した電子直接検出型の新しいタイプのカメラによって新たな時代に突入した。今では最高分解能は1.8Åであり、これはX線結晶構造解析の分解能に肉迫している。分解能という欠点を克服した今となっては、NatureやScienceなどのトップジャーナルで見ないことがないほど頻繁に誌面を飾っている。また2017年のノーベル化学賞がクライオ電子顕微鏡の開発に貢献した3氏に贈られたことも記憶に新しい。今回のコロキウムでは、難波研におけるべん毛モーターの構造解析を実例に、新しいクライオ電子顕微鏡の開発の取り組みと今後の展望について紹介する。
クライオ電子顕微鏡による構造解析の現状と展望
X線結晶構造解析、NMR、クライオ電子顕微鏡は、タンパク質や核酸など生体高分子の構造決定における3種の神器である。それぞれ得られる分解能、試料の状態、分子量等に一長一短はあるが、中でもクライオ電子顕微鏡はその守備範囲の広さの点で他の手法を凌駕する。数年前までは得られる分解能が10Å程度と低く、詳細な構造を明らかにすることができなかったため、一部の研究機関でのみ開発・利用されている特殊な技術としての色合いが濃かった。しかし、2013年頃に登場した電子直接検出型の新しいタイプのカメラによって新たな時代に突入した。今では最高分解能は1.8Åであり、これはX線結晶構造解析の分解能に肉迫している。分解能という欠点を克服した今となっては、NatureやScienceなどのトップジャーナルで見ないことがないほど頻繁に誌面を飾っている。また2017年のノーベル化学賞がクライオ電子顕微鏡の開発に貢献した3氏に贈られたことも記憶に新しい。今回のコロキウムでは、難波研におけるべん毛モーターの構造解析を実例に、新しいクライオ電子顕微鏡の開発の取り組みと今後の展望について紹介する。