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脳神経工学講座

脳工学研究室

鈴木 基高 教授 鈴木 基高 教授

キーワード:

樹状突起、大脳皮質、視床、行動、高次脳機能、認知

新しい道具や最新技術を組み合わせた独創的なアプローチを用いて、樹状突起を中心とした脳神経回路の基本作動原理の解明に挑みます

脳の作動原理は未だに分かっておらず、現在の人工知能のそれとは根本的に異なります。脳の作動原理を解き明かすことは生物学的・医学的な重要性のみならず、次世代の人工知能の開発に代表される工学分野においても極めて重要な意味を持つことは間違いありません。この難問に対し、私たちは新しい道具や最新技術を組み合わせた独創的なアプローチを用いて、樹状突起や代謝型受容体を突破口と定め、脳神経回路の基本作動原理の解明に挑みます。

2020年にCellから出版された論文のGraphical Abstractです。全身麻酔が大脳皮質第5層錐体細胞の樹状突起を介した情報伝達を阻害することを見出しました。この細胞レベルのメカニズムは、意識に関する2つの対立仮説を解消するという点においても大きな意義があると考えています。

メンバー

鈴木 基高 教授 m.suzuki.fbs[at]osaka-u.ac.jp
  • ※メールアドレスの[at]は@に変換してください

Q&A

現在注目しているテーマは何ですか?
私たちの意識はどのように生み出され、消失するのか。睡眠や全身麻酔によって意識は一時的に失われますが、健常な脳の場合、意識は再び取り戻すことができます。この意識の消失・生成の過程で、脳内では何が起こっているのでしょうか?意識には脳が必要であることは間違いありませんが、脳のどこで何が起こっているのか、それを細胞レベルで理解することが目標です。
最新のブレイクスルー、研究成果について教えてください。
2020年Cell誌から発表した内容がこれまでで一番大きな成果かと思います。この論文は、全身麻酔によって動物(マウス)が意識を消失する際に、大脳皮質にある特定の細胞(皮質第5層錐体細胞)の特性が顕著に変化することを報告したものです。それまでほとんど注目してこなかった代謝型受容体という特殊な受容体が、この特性変化の鍵を握っていることも突き止めました。
どのようなバックグラウンドを持つメンバーで研究を進めていますか?
2025年4月に大阪大学で研究室をスタートさせたばかりなので、現在メンバー募集中です。オランダの研究室では、神経生物学や心理学のバックグラウンドを持つメンバーと共に研究を進めています。
国内外の研究機関との連携について教えてください。
前所属のアムステルダム大学(オランダ)の科学者とは引き続き共同研究を続けていく予定ですし、ブラウン大学(アメリカ)、フンボルト大学(ドイツ)、タルトゥ大学(エストニア)などにも共同研究者がいます。日本国内では、生理学研究所との共同研究実績があり、他の研究機関とも連携を積極的に模索していく予定です。
今後どんな展開が期待されますか?
意識の神経基盤の理解を一歩一歩進めていきたいと思います。私は元々工学系の出身ですので、これまでにない道具や技術を開発できることが強みです。これまでにない新しいアプローチや技術で、意識の神経基盤という難問に挑戦していきたいと思います。

研究成果

論文、総説、著書

2023年

Mototaka Suzuki, Cyriel M A Pennartz, Jaan Aru

How deep is the brain? The shallow brain hypothesis

Nat. Rev. Neurosci. 24(12):778-791  2023 PMID:37891398 DOI:10.1038/s41583-023-00756-z

2020年

Mototaka Suzuki, Matthew E Larkum

General Anesthesia Decouples Cortical Pyramidal Neurons

Cell 180(4):666-676.e13  2020 PMID:32084339 DOI:10.1016/j.cell.2020.01.024

2017年

Mototaka Suzuki, Matthew E Larkum

Dendritic calcium spikes are clearly detectable at the cortical surface

Nat. Commun. 8(1):276  2017 PMID:28819259 DOI:10.1038/s41467-017-00282-4

2013年

Mototaka Suzuki, Jacqueline Gottlieb

Distinct neural mechanisms of distractor suppression in the frontal and parietal lobe

Nat. Neurosci. 16(1):98-104  2013 PMID:23242309 DOI:10.1038/nn.3282

求める人物像(学生の方へ)

脳は極めて美しく、かつ複雑な構造を持ち、未だ多くの謎に満ちた臓器です。困難な問題に対しては、全く新しい仮説や技術がブレークスルーに繋がることがあります。斬新なアイディアや新技術・独自技術を恐れることなく積極的に取り入れ、脳の難問に果敢に挑戦する気概ある学生・研究者の参加を歓迎します。

連絡先

〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1-3
大阪大学大学院生命機能研究科 ナノバイオロジー棟5階 脳工学研究室
TEL:06-6879-4620
E-mail:m.suzuki.fbs[at]osaka-u.ac.jp(鈴木 基高 教授)

  • ※メールアドレスの[at]は@に変換してください

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