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細胞ネットワーク講座

倍数性病態学研究室

松本 知訓 准教授 松本 知訓 准教授

キーワード:

倍数性、ゲノム倍加、染色体不安定性、がん、組織障害

倍数性の謎を解き明かしがんや病気の克服をめざします

人は染色体が2本で1セットとなったゲノムを持つ2倍体生物です。しかし、私たちの体内にはゲノムが倍加した多倍体細胞が様々な組織・病態で認められます。特に、いろいろな癌や臓器障害で多倍体化が増えることが知られていますが、これまでこのような倍数性の変化は見過ごされることが多く、倍数性変化の意義や制御機構は多くが謎に包まれています。当研究室では倍数性にまつわる謎を解明し治療標的とすることで、がんや病気を克服する新しい「倍数性治療」を開発することを目指しています。

(左)体細胞で倍数性が減りうることを示す多色レポーターマウスの肝再生結節の画像。(中)多倍体肝がんのHE染色。(右)多倍体巨大がん細胞の染色体FISH。

メンバー

松本 知訓  准教授 matsumoto.tomonori.fbs[at]osaka-u.ac.jp
  • ※メールアドレスの[at]は@に変換してください

Q&A

現在注目しているテーマは何ですか?
ゲノムを含め細胞のスケールが単に倍になっただけと思われていた多倍体細胞が、実は2倍体細胞とは異なる遺伝子発現や特徴を持っていることが明らかとなってきています。このような多倍体化に伴う変化が、がんを始めとする病気の一因となると同時に、治療標的にもなる可能性に着目し研究を進めています。
最新のブレイクスルー、研究成果について教えてください。
多倍体細胞の生体内での挙動を可視化するマウスモデルを構築し、肝再生や発癌への多倍体肝細胞の関与や、体細胞で倍数性が減りうるという特異な現象を明らかにしました(Cell Stem Cell. 2020, 26:34-47; Nat Commun. 2021, 12:646)。また肝癌のうち多倍体癌は悪性度が高い特徴的な一群を占めることを明らかにし(Br J Cancer. 2023, 129:1251-1260)、AIを使って癌の多倍体化を判定し予後を予測するモデルも開発しました(特願2024-26830)。
どのようなバックグラウンドを持つメンバーで研究を進めていますか?
主にがん研究に興味があるメンバーが多いですが、組織の障害や再生にも興味を持って研究を進めています。
国内外の研究機関との連携について教えてください。
京都大学、神戸大学、九州大学、医薬基盤研究所、大阪国際がんセンターなど様々な機関と積極的に共同研究を行っています。
研究室から巣立った人たちはどのような道を歩まれていますか?
前職で率いていたグループのメンバーには、大学で研究者として活躍している人、製薬会社に就職した人、などがいます。
今後どんな展開が期待されますか?
倍数性を巡る多くの謎を解き明かすこと、そして多倍体細胞や倍数性変化を標的とした、新しい癌治療戦略の開発することを目指しています。

研究成果

論文、総説、著書

2023年

Matsuura T, Ueda Y, Harada Y, Hayashi K, Horisaka K, Yano Y, So S, Kido M, Fukumoto T, Kodama Y, Hara E, Matsumoto T.

Histological diagnosis of polyploidy discriminates an aggressive subset of hepatocellular carcinomas with poor prognosis.

Br J Cancer. 129(8):1251-1260  2023 PMID:37715023 DOI:10.1038/s41416-023-02408-6

2022年

Matsumoto T.

Implications of Polyploidy and Ploidy Alterations in Hepatocytes in Liver Injuries and Cancers.

Int J Mol Sci. 23(16):9409  2022 PMID:36012671 DOI:10.3390/ijms23169409

2021年

Matsumoto T, Wakefield L, Peters A, Peto M, Spellman P, Grompe M.

Proliferative polyploid cells give rise to tumors via ploidy reduction.

Nat Commun. 12(1):646  2021 PMID:33510149 DOI:10.1038/s41467-021-20916-y

Matsumoto T, Wakefield L, Grompe M.

The Significance of Polyploid Hepatocytes During Aging Process.

Cell Mol Gastroenterol Hepatol. 11(5):1347-1349  2021 PMID:33359651 DOI:10.1016/j.jcmgh.2020.12.011

2020年

Matsumoto T, Wakefield L, Tarlow BD, Grompe M.

In Vivo Lineage Tracing of Polyploid Hepatocytes Reveals Extensive Proliferation during Liver Regeneration.

Cell Stem Cell. 26(1):34-47.e3  2020 PMID:31866222 DOI:10.1016/j.stem.2019.11.014

求める人物像(学生の方へ)

研究に対する意欲がある方、新しいことに挑戦することを楽しめる方、創意工夫が好きな方、一つでも当てはまっていれば大歓迎です。出身大学や出身学部は一切問いません。

連絡先

〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1-3
大阪大学大学院生命機能研究科 生命システム棟5階 倍数性病態学研究室
TEL: 06-6879-5243
E-mail: matsumoto.tomonori.fbs[at]osaka-u.ac(松本 知訓 准教授)

  • ※メールアドレスの[at]は@に変換してください

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