FBSコロキウム 197回染色体生物学研究室
講演 |
セントロメア構造のゲノムワイドな解析 西村浩平[染色体生物学研究室] CENP-CによるCENP-Aヌクレオソーム認識の分子基盤研究 有吉眞理子[染色体生物学研究室] |
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日時 | 2018年10月24日(水)12:15〜13:00 |
場所 | 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
世話人 |
堀哲也(染色体生物学研究室) |
セントロメア構造のゲノムワイドな解析
セントロメアは染色体の分配に必須なキネトコアの形成がおこる領域であり、セントロメアの機能が失われた細胞では正常な細胞分裂が阻害され、分裂異常や細胞死が引き起こされる。セントロメア領域は細胞分裂期にキネトコア形成の場を与える一方で、間期の核内においてもCENP-AヌクレオソームやCCANといったセントロメア因子が結合する特殊な領域である。我々はこのセントロメアの領域が間期の核内でどのような構造を取っているかを解析するためにゲノムワイドな解析に注目した。ヒトやマウスにおいてはセントロメア領域は高度に保存されたリピート配列を保持しているため、ゲノムワイドな解析は困難である.しかしながらニワトリの細胞においてはリピート配列を保持していないセントロメアが存在しているためゲノムワイドな解析が可能となる。さらに我々はニワトリDT40細胞においてZ染色体上の異なる位置にセントロメアが形成されている細胞ラインを多数保持している(Shang WH et al., Dev Cell, 2013)。これらの細胞において4C-seq(Circular Chromosome Conformation Capture)解析を行うことにより、セントロメアの持つ構造的な性質を解析した。この結果を用いて間期核内におけるセントロメアの構造について議論したい。
CENP-CによるCENP-Aヌクレオソーム認識の分子基盤研究
細胞分裂に伴う染色体分配は、遺伝情報の継承と生物の恒常性を担う極めて重要かつ動的な過程であり、時間・空間的に精緻に制御されている。この染色体分配を制御するのは、セントロメアと呼ばれる特殊な染色体領域と、その領域に形成されるキネトコアと呼ばれる多数のタンパク質からなる超分子構造体である。ヒストンH3のバリアントであるCENP-Aは、セントロメア領域を規定する最も重要なエピジェネティックマーカーであり、特徴的なCENP-Aヌクレオソーム構造を目印として、様々なタンパク質が会合し、機能的かつ階層的なセントロメアに特徴的なクロマチン環境が形成される。このようなセントロメア上のキネトコア形成の制御機構を理解するため、CENP-Aを特異的に認識し、セントロメアにおけるキネトコア形成の起点となるCENP-Cに着目して構造機能解析を進めている。今回のコロキウムでは、我々の研究室で進行中のCENP-CによるCENP-A認識に関する研究を紹介する。