FBSコロキウム 205回細胞内膜動態研究室
講演 |
リソファジー:損傷膜の認識機構&LC3-II脂質化はどこで起こるのか 濱崎万穂[細胞内膜動態研究室] Rubiconは骨芽細胞の分化を負に制御している 吉田豪太 [細胞内膜動態研究室] |
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日時 | 2019年1月30日(水)12:15〜13:00 |
場所 | 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
世話人 |
濱崎万穂(細胞内膜動態研究室) |
リソファジー:損傷膜の認識機構&LC3-II脂質化はどこで起こるのか
オートファジーは、飢餓時の栄養源確保のために誘導される場合と、細胞内浄化のために誘導される場合がある。今回は後者の、特にリソファジーについて紹介する。リソファジーは、損傷を受けたリソソームを選択的に取り囲む機構である。リソソームの損傷はコレステロール結晶や尿酸結晶、人膵アミロイドポリペプチド等の刺激性粒子により惹き起こされ、それらは生活習慣病の原因因子でもあるためリソファジーが着目されている。損傷を受けた膜がどのように認識されるのか、最近の我々の研究成果を紹介したい。また、オートファゴソーム膜のマーカーとしてよく使われるLC3は、オートファジーが起こると細胞質局在型LC3-IからPE(phosphatidylethanolamine)と共有結合したLC3-II型になりオートファゴソーム膜上に局在する。それが細胞内のどこで起こるのか、薬剤スクリーニングから得られた結果と共に紹介する。
Rubiconは骨芽細胞の分化を負に制御している
当研究室ではオートファジーを抑制性に制御するRubiconを同定してきた。Rubicon欠損マウスを用いることで、オートファジーが亢進したモデルを構築したところ、大腿骨の骨構造が増加することを見出した。初代培養細胞系におけるRubicon欠損骨芽細胞の観察より、骨芽細胞の分化が亢進し、ミネラル化機能も亢進していることが分かった。骨芽細胞の分化シグナル経路は複数知られているが、Notchシグナルに注目したところ、Rubicon欠損骨芽細胞ではNotchレセプターの減少とNotch下流の転写因子の低下が確認できた。これまでに、Rubiconは細胞表面受容体のエンドサイトーシスも抑制することを報告されている。そのため現在はNotchレセプターがエンドサイトーシスの亢進により減少している可能性とレセプターがオートファジーによって減少している可能性を検討している。