FBSコロキウム 425回がん病理学研究室
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Setbp1変異マウスを用いたSchinzel-Giedion症候群の頭蓋顔面表現型の解析 山嵜 博未[医学系研究科 がん病理学研究室|助教] |
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| 日時 | 2026年9月29日(火)12:15〜13:00 |
| 場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
| 言語 | 日本語 |
| 世話人 |
西村 耕太郎 (准教授)
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Setbp1変異マウスを用いたSchinzel-Giedion症候群の頭蓋顔面表現型の解析
エピジェネティック制御因子をコードする遺伝子には、体細胞変異としてがんの原因となる一方、生殖細胞系列変異として重篤な発生異常をもたらすものが少なくない。SETBP1はその代表であり、デグロンモチーフに生じるホットスポット変異は、骨髄系腫瘍で同定されるとともに、生殖細胞系列に存在する場合にはSchinzel-Giedion症候群(SGS)を引き起こす。SGSは特徴的な頭蓋顔面形態異常に加え、重度の発達遅滞や水腎症を呈する先天性疾患である。変異型SETBP1は分解を免れて全身の細胞に蓄積するにもかかわらず、その病変は特定の組織に限局しており、組織選択性の基盤は未解明であった。本研究では、内在性Setbp1遺伝子座にヒトD868Nに相当するD859N変異を導入した条件付きノックインマウスを作製し、頭蓋冠低形成や水腎症を含むヒトSGS病態を再現した。頭蓋顔面骨が体幹骨格と異なりそのほとんどが神経堤細胞(NCC)に由来すること、またSGSの表現型がNCC異常が原因で生じる神経堤症(neurocristopathy)の臨床像と広く重複することに着目し、変異をNCCに限局させたところ、頭蓋冠石灰化の低下と縫合部開大が全身モデルと同等に再現された。次に、変異がNCC系譜においてどのような遺伝子発現制御の異常をもたらすのかを明らかにするため、Cre依存的に蛍光がEGFPからdsRedへ切り替わるレポーターマウスを組み合わせ、NCC系譜細胞を分離してマルチオミクス解析を行った。その結果、NCC由来間葉系幹細胞は骨芽細胞への分化過程でリボソーム生合成に関わる遺伝子発現が高まる段階を経ること、変異細胞ではこの進行に変化がみられることが分かった。変異型SETBP1は核質のみならず核小体にも集積する一方、通常このような状況で作動するp53依存的な品質管理経路は、変異細胞では活性化しなかった。本コロキウムでは、系譜追跡を用いた解析基盤とともに、単一遺伝子変異が細胞系譜特異的な脆弱性を介して発症に至る機構について紹介する。
