FBSコロキウム 424回ユビキチン生物学研究室
| 講演 |
過剰なMet1連結型ユビキチン鎖は凝集体形成を促進する 宮坂 実祈[ユビキチン生物学研究室|D2/D5] メチル化基質SAMの代謝恒常性制御機構 樫尾 宗志朗[ユビキチン生物学研究室|助教] |
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| 日時 | 2026年9月15日(火)12:15〜13:00 |
| 場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
| 言語 | 日本語 |
| 世話人 |
柳谷 耕太 (准教授)
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過剰なMet1連結型ユビキチン鎖は凝集体形成を促進する
ユビキチンリガーゼHOIL-1は、Linear Ubiquitin Chain Assembly Complex(LUBAC)内においてE3リガーゼHOIPと協調することで、Met1連結ユビキチン鎖の形成を制御している。HOIP依存的なMet1連結型ユビキチン化は、炎症および免疫応答における重要な役割が確立されている一方で、その量的制御の生理学的意義については十分に理解されていない。
本研究では、触媒活性を欠損したHOIL-1を発現する細胞において、α-synuclein、tau、およびアミロイドβの凝集体が蓄積することを示した。この表現型は、p62陽性凝集体のリソソームへの輸送障害を特徴とするオートファジーフラックス後期段階の異常と関連していた。さらに、p62ボディは動的な液滴様顆粒から、硬く流動性の低い固体様構造へと物性転換を起こした。HOIL-1の不活性化、あるいはMet1連結型ユビキチン鎖特異的脱ユビキチン化酵素OTULINの欠損によってMet1連結型ユビキチン鎖量を増加させると、同様の表現型が再現された。以上の結果から、HOIL-1はMet1連結型ユビキチン化の量的制御を介してタンパク質凝集体の除去およびプロテオスタシス維持を担う重要な制御因子であることが明らかとなった。(Preprint (BioRxiv): doi: https://doi.org/10.64898/2026.01.20.700516)
メチル化基質SAMの代謝恒常性制御機構
代謝は、生体内で絶えず進行する化学反応の総体であり、その恒常性は生命活動の維持に不可欠である。近年のオミクス解析の発展により、摂動に応答して変動する代謝経路や代謝物の理解は大きく進展した。一方で、生体が環境変化の中でも代謝状態を一定に保つための恒常性維持機構については、未解明な点が多く残されている。S-アデノシルメチオニン(S-adenosylmethionine; SAM)は、メチル基供与体としてDNA、RNA、タンパク質、脂質など多様な生体分子の修飾反応を担う中心的な代謝物である。しかし、栄養状態や環境変化に応じて生命活動が変動する中で、細胞や個体がSAM量をどのように維持しているのか、その分子機構は十分に理解されていない。
本研究では、ショウジョウバエをモデルとして、栄養環境変化や加齢におけるSAM代謝恒常性維持機構の解明を進めてきた。これまでに、SAM生合成能が低下した条件では、SAM消費酵素の量が減少することでSAM量が維持されることを見出した。さらに、その分子機構を解析する過程で、細胞質に存在するSAM消費酵素が核内ユビキチン・プロテアソームシステムによって制御されることを明らかにし、サブセルラーレベルでのSAM代謝制御の重要性が示唆された。本発表では、SAMの感知機構や細胞内局在に着目し、SAM代謝恒常性維持機構の分子基盤とその生理的意義について議論したい。
