FBSコロキウム 422回がん生物学研究室
| 講演 |
老化細胞のセノリティック薬耐性をミトコンドリア制御で克服 脇田 将裕 [がん生物学研究室 |講師] |
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| 日時 | 2026年9月1日(火)12:15〜13:00 |
| 場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
| 言語 | 日本語 |
| 世話人 |
原 英二 (教授)
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老化細胞のセノリティック薬耐性をミトコンドリア制御で克服
細胞老化(cellular senescence)は、テロメア短縮、酸化ストレス、放射線、がん遺伝子の活性化など、発がんにつながり得るさまざまな細胞ストレスによって誘導される安定した細胞周期停止状態です。この応答はがん抑制機構として働く一方、老化細胞は細胞老化随伴分泌現象(SASP)と総称される炎症性因子を分泌し、組織機能障害や加齢関連疾患の進展にも関与します。そのため、老化細胞を選択的に除去するセノリティック薬は加齢性疾患に対する新たな治療法として注目されています。しかし、20種類以上報告されているセノリティック候補薬を体系的に比較した研究はなく、その有効性や特異性、さらに耐性機構もほとんど明らかになっていませんでした。本研究では、21種類のセノリティック薬を定量的に比較し、Bcl-2阻害剤ABT263とBET阻害剤ARV825が最も強力かつ特異性の高いセノリティック薬であることを明らかにしました。一方で、これらの薬剤に対しても一部の老化細胞は生存し続け、その耐性はV-ATPase依存的な損傷ミトコンドリアの除去によるミトコンドリア恒常性の維持に起因することを見出しました。さらに、代謝を解糖系からOXPHOSへシフトさせてミトコンドリアストレスを増大させると、ABT263およびARV825のセノリティック効果はin vitroおよびマウスモデルで著しく増強されました。特に、ケトン食やSGLT2阻害薬による代謝介入はセノリシスを促進し、がん細胞の増殖・転移を抑制しました。本講演では、セノリティック薬耐性の分子機構と、それを克服する代謝介入を利用した新たな併用セノセラピー戦略について紹介します。
