FBSコロキウム 407回超分子構造解析学研究室
| 講演 |
松田 真[超分子構造解析学研究室|助教] |
|---|---|
| 日時 | 2026年1月27日(火)12:15〜13:00 |
| 場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
| 言語 | 日本語 |
| 世話人 |
松田 真(助教) |
タンパク質の分子機能を理解するうえでタンパク質の立体構造は有用な情報の1つになる。タンパク質の立体構造を決定する方法の中で、X線結晶構造解析は放射光施設や解析プログラムなどの高度化により、迅速に構造決定を可能にしている。X線結晶構造解析を行う上で、結晶を得ることがボトルネックになっている。また、結晶が得られたが分解能が低い等の問題がしばしば起こる。7回膜タンパク質のGPCRでは、T4 lysozymeやthermostabilized apocytochrome b562などを融合タンパク質として用いて、このような問題が解決されてきた(E. Chun et al., Structure 20, 967 (2012))。当研究室では、蛍光タンパク質GFPに対するNanobodyを融合タンパク質として用いて膜タンパク質の結晶化の方法を、Lipidic cubic phase法で確立した(特許第7657406号)。この方法では、蛍光タンパク質と複合体を形成するため、タンパク質結晶であるかの判別が付きやすく、回折実験に取り組めるという利点がある。さらに、GFPとNanobodyの複合体形成により親水領域が増えることで、結晶中でタンパク間の相互作用が増え、良質な結晶を得ることも期待される。この手法が糖鎖修飾があり均一なサンプルの調製に苦労する細胞外タンパク質に対しても適用した実践例についても述べたい。
