FBSコロキウム 404回初期胚発生研究室
| 講演 |
マウス着床前胚に残存した不適切細胞の動態解析 柴田 留衣[初期胚発生研究室|大学院生(D5/D5)] マウス着床前胚発生過程に起こる細胞遊走における細胞死の生物学的意義の解明 久住 和希[初期胚発生研究室|大学院生(D2/D5)] |
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| 日時 | 2025年12月23日(火)12:15〜13:00 |
| 場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
| 言語 | 日本語 |
| 世話人 |
荒巻 敏寛(助教) |
マウス着床前胚に残存した不適切細胞の動態解析
マウスの着床前胚では、多能性組織であるエピブラストが形成される。エピブラストは将来の体の基盤となるが、細胞数はわずか十数個と非常に少数であるため、すべての細胞が高品質であることがその後の個体形成に重要であると考えられる。これまでに本研究室では、エピブラスト形成過程において、多能性因子の発現の低い不適切細胞が、細胞間相互作用を介してアポトーシスによって排除されることを明らかにしてきた。これにより、すべてのエピブラスト細胞は多能性因子を高く発現する細胞のみから構成される。これまでに、品質管理機構を阻害した場合に残存する不適切細胞が、その後の発生過程においてどのような運命をたどるのかについては解析されておらず、品質管理機構の生理的な役割については明らかになっていない。本コロキウムでは、アポトーシス抑制胚で残存した不適切細胞がその後の発生過程で、どのような運命をたどるのかについて詳しく解析した結果を紹介する。
マウス着床前胚発生過程に起こる細胞遊走における細胞死の生物学的意義の解明
マウス着床前胚の胚盤胞期において内部細胞塊は胚盤葉上層(Epiblast:Epi)と原始内胚葉(Primitive endoderm:PrE)に分化する。中期胚盤胞の時点ではEpi・PrEの両者が混在した状態であるが、後期胚盤胞へと発生を進める過程でEpiを覆うようにPrEが並ぶ細胞遊走が起こる。この時、多能性因子の低い細胞がアポトーシスにより排除される細胞競合といった現象も同時に起こる。前述の細胞競合によるアポトーシスを抑制させるとEpiとPrEの配置が乱れることがわかり、EpiとPrEのSortingには細胞競合によるアポトーシスが必要ということが示唆された。しかしながら、胚内におけるEpiやPrEの細胞遊走過程や細胞死前後における周辺細胞の動きについては不明な点が多い。そこで、本コロキウムではライブイメージングを用いて正常胚におけるEpiとPrEの動きや、細胞死を抑制した胚の細胞遊走における変化について解析最中の結果を紹介する。
