FBSコロキウム 403回幹細胞・免疫発生研究室
| 講演 |
全ての組織に存在する普遍的線維芽細胞の造血幹細胞ニッチ細胞への分化能 檜垣 慧[京都大学iPS細胞研究所|特定研究員] |
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| 日時 | 2025年12月16日(火)12:15〜13:00 |
| 場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
| 言語 | 日本語 |
| 世話人 |
尾松 芳樹(准教授) |
全ての組織に存在する普遍的線維芽細胞の造血幹細胞ニッチ細胞への分化能
造血幹細胞はすべての血球細胞を産生しており、その維持は骨髄に存在するCXCL12を高発現する細網細胞(CAR細胞)によって維持されている。Turleyらは組織横断的な単一細胞RNAシーケンスデータのメタ解析から、全ての臓器に普遍的線維芽細胞が存在し、この細胞が特殊線維芽細胞というCAR細胞をはじめとした臓器特異的な機能と性質を有する線維芽細胞サブセットを生み出すという仮説を提唱した。しかし、実際に、普遍的線維芽細胞が特殊線維芽細胞に分化する能力を持つことは実証されていない。本研究では、筋肉に加えて骨格系と異なる肺や大腸に存在する普遍的線維芽細胞がCD248を特異的に発現し、異所性骨形成を用いた実験系や骨髄内移植により、造血幹細胞を維持するCAR細胞に分化できることを明らかにした。これより、骨髄にしか存在しない造血幹細胞のニッチ細胞に分化する能力をもつ普遍的線維芽細胞が全身に散在していることが示された。
