FBSコロキウム 397回生殖生物学研究室
講演 |
ショウジョウバエKumoタンパク質のユビキチン化機能とその生理的役割の解析 一色和奏[生殖生物学研究室|大学院生(D5/D5)] 生殖ゲノムを保護するpiRNA経路因子の翻訳後修飾の解析 南陽菜乃[生殖生物学研究室|大学院生(D3/D5)] |
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日時 | 2025年10月14日(火)12:15〜13:00 |
場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
言語 | 英語 |
世話人 |
甲斐 歳惠(教授) |
動物の生殖細胞では、トランスポゾンの転移活性を抑制することが次世代へのゲノム情報の伝達において極めて重要である。この抑制機構として、ショウジョウバエから哺乳類まで広く保存されているのがpiRNA(Piwi-interacting RNA)経路である。piRNA経路は、小分子RNAであるpiRNAとPIWIファミリータンパク質が複合体を形成し、核内では転写抑制に機能し、細胞質ではヌアージュと呼ばれる非膜オルガネラで相補的な配列を持つトランスポゾンmRNAを特異的に切断・分解する。このpiRNA経路の破綻は生殖細胞の異常や不妊を引き起こす。piRNA経路では、PIWIファミリータンパク質をはじめとする多数のタンパク質が協調的に機能する。この協調には翻訳後修飾が重要な役割を果たしており、Tudorドメインタンパク質はジメチル化されたPIWIタンパク質のN末端に結合し、非膜オルガネラ・ヌアージュの形成を促進する。
ショウジョウバエKumoタンパク質のユビキチン化機能とその生理的役割の解析
翻訳後修飾の一種であるユビキチン化はE3ユビキチンリガーゼ活性を持つRINGドメインなどによって行われる。現在までに同定されているpiRNA経路関連タンパク質の1つであるKumoは、唯一、RINGドメインを有し、E3ユビキチンリガーゼとして他のpiRNA経路因子を制御している可能性が高い。本研究では、RINGドメイン変異体の表現型解析、in vitroユビキチン化アッセイ、ユビキチン化タンパク質のプルダウンなどを通じてKumoの機能を解析した。本コロキウムでは、これらの結果からpiRNA経路におけるKumoの役割について議論する。
生殖ゲノムを保護するpiRNA経路因子の翻訳後修飾の解析
翻訳後修飾の一種であるNedd化は哺乳類の胚発生などに必要であることが知られているが、卵形成やpiRNA経路における働きは明らかになっていない。本研究では、Nedd化タンパク質の質量分析を通じてNedd化標的候補分子の同定を行った。本コロキウムでは、これまでに得られた知見と今後の展望について報告・議論したい。