FBSコロキウム 393回細胞機能学研究グループ
講演 |
転写を阻害するDNA損傷を除去する仕組み:転写と共役したヌクレオチド除去修復因子の機能と相互作用 |
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日時 | 2025年7月29日(火)12:15〜13:00 |
場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
西條 將文(准教授) |
転写を阻害するDNA損傷を除去する仕組み:転写と共役したヌクレオチド除去修復因子の機能と相互作用
ヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair;NER)は、紫外線によるピリミジン二量体などDNAの構造に歪みを生じさせる損傷を除去、修復する機構である。NERには損傷認識の過程が異なる2つの経路、「ゲノム全体の修復(global genome NER;GG-NER)」と「転写と共役した修復(transcription-coupled NER;TC-NER)」が存在する。転写が行われている遺伝子の鋳型鎖上のDNA損傷は、RNAポリメラーゼの進行を阻害し、細胞死を誘発する。そのような状況を回避するため、転写鋳型鎖上のDNA損傷を他の場所にある損傷よりも迅速に修復するのがTC-NERである。TC-NERでは転写伸長が停止したRNAポリメラーゼIIにTC-NER因子(CSA、CSB、UVSSA)が結合し、その後NER共通因子(TFIIH、XPAなど)が損傷部位にリクルートされることはわかっているが、どのようにDNA損傷が除去されて転写が再開するのかについての分子メカニズムはまだ明らかではない。本コロキウムでは、TC-NER因子の機能とRNAポリメラーゼIIや因子間での相互作用についての研究成果を紹介し、それらのTC-NERにおける役割について考察する。