FBSコロキウム 388回医化学研究室
講演 |
非分裂細胞におけるERKシグナルの挙動:がんと心筋細胞の比較から見えるもの 加藤 久和[医化学研究室|助教] |
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日時 | 2025年6月17日(火)12:15〜13:00 |
場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
松岡 研(准教授) |
非分裂細胞におけるERKシグナルの挙動:がんと心筋細胞の比較から見えるもの
ERKシグナルは、生命科学の教科書にも記載されている代表的な増殖シグナルカスケードである。さまざまながんにおいて、この経路を構成する遺伝子の変異によりERKシグナルが恒常的に活性化しており、いくつかの分子標的薬もすでに上市されていることから、がんにおける重要な増殖シグナル経路であることが明らかである。このシグナル経路は、よく「アクセル」と「ブレーキ」にたとえられる。すなわち、増殖シグナルが過剰に活性化すると(アクセル)、細胞はそれを抑制するシグナル(ブレーキ)を作動させて、がん化を防ごうとすることが知られている。がん細胞ではこのブレーキ機構の破綻がしばしば認められるが、我々は大腸がん細胞を用いた検討により、細胞種ごとに異なる興味深い表現型の変化を見出した。さらに、非分裂細胞である心筋細胞では、どのような表現型を示すのか。その検討結果についても併せて紹介したい。