FBSコロキウム 387回1分子生物学研究室
講演 |
細胞の自発的なアメーバ運動を駆動するRasの活性化因子RasGEFX/B/U/M 岩本 浩司[1分子生物学研究室|特任研究員] |
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日時 | 2025年6月10日(火)12:15〜13:00 |
場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
有賀 隆行(准教授) |
細胞の自発的なアメーバ運動を駆動するRasの活性化因子RasGEFX/B/U/M
細胞運動は、栄養探索や免疫応答、形態形成といった多様な生理的プロセスの基盤を成す重要な細胞機能である。細胞運動を制御するシグナルの生成には、低分子量Gタンパク質であるRas GTPaseが中心的に働いている。Rasは活性化型RasであるRas-GTPの濃縮ドメインからなる非対称シグナルを細胞膜上に自発的に形成し、細胞の前後極性を決定する。この極性形成によって、Ras-GTPが濃縮した領域でアクチンの重合が促進され、仮足の伸長が誘発される。しかしながら、Rasの自発的な非対称シグナル生成を制御する分子実体は、いまだ解明されていない。本研究ではRasの活性化因子であるRasGEFに着目し、Rasの自発的活性化を制御するRasGEFを同定し、その制御機構と細胞運動との関わりを調べた。我々は、細胞の自発運動を駆動するRasの活性化因子としてRasGEFXを発見した。さらに、RasGEFXは他の3種のRasGEFB/M/Uと協同的に働いて細胞の自発運動を調節することが示唆された。また、RasGEFXとRasGEFBはそれぞれ時間的・空間的にRasの活性ダイナミクスと仮足形成を制御することが明らかになった。本コロキウムではこれらの研究成果の詳細について紹介する。