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FBSコロキウム 385回理化学研究所生命機能科学研究センター

講演

能動的低代謝の臨床応用をめざして~マウスを用いた冬眠研究~

砂川 玄志郎[理化学研究所生命機能科学研究センター冬眠生物学研究チーム|チームディレクター]

日時 2025年5月27日(火)12:15〜13:00
場所 オンライン(Zoom)|招待リンク、ミーティングID、パスコードは事前に関係者へメールで連絡いたします。
言語 英語
世話人

青木 高明(招へい准教授)
E-mail:t_aoki[at]riken.jp
TEL:078-306-3161

能動的低代謝の臨床応用をめざして~マウスを用いた冬眠研究~

一部の哺乳類は、代謝を能動的に低下させ、休眠(torpor)と呼ばれる状態に入る。この状態が長期間持続するものは冬眠(hibernation)と呼ばれる。休眠は単なる受動的な低体温状態ではなく、厳しい環境下でエネルギーを節約するための高度に制御された生理的戦略である。冬眠中、動物は酸素消費量を大きく減らし、体温を外気温に近づけるが、組織損傷などは生じない。このような能動的低代謝を人為的に再現することができれば、人工休眠(synthetic torpor)と呼ぶ新たな医療的介入の可能性が開かれる。急性疾患のように全身へのエネルギー供給が困難な場面において、体のエネルギー需要を抑制することで、生命維持の助けとなる可能性がある。また、臓器保存技術にも応用が期待される。本発表では、まず自然界における休眠および冬眠の生理機構について概説する。続いて、我々の研究室におけるマウスを用いた日内休眠および冬眠様状態モデルを用いた研究を紹介する。最後に、これらの知見が将来的にヒトへの人工休眠誘導へとどのように応用可能か、また臨床応用に向けた生物学的・技術的・倫理的課題について議論する。

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