FBSコロキウム 383回生体機能分子計測研究室
講演 |
ハイスループット画像解析で大腸菌受容体活性を多細胞で同時に解析する 福岡 創[生体分子機能計測研究室|准教授]/黒木 陽一[生体分子機能計測研究室|大学院生] |
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日時 | 2025年5月13日(火)12:15〜13:00 |
場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
福岡 創(准教授) |
ハイスループット画像解析で大腸菌受容体活性を多細胞で同時に解析する
大腸菌は受容体を介して細胞外部の化学物質を感知し、好ましい環境へと近づき(誘引応答)、好ましくない環境からは遠ざかる(忌避応答)を示す。この性質は走化性とよばれ、大腸菌は刺激に対してべん毛の回転方向を制御することで走化性を実現している。一度受容した刺激に対して走化性システムをリセットし再度反応できる性質も有しており、これは適応と呼ばれる。適応は、受容体脱メチル化酵素CheBならびに受容体メチル化酵素CheRによって、受容した刺激に対し受容体のメチル化レベルをフィードバック制御することで実現されている。受容体メチル化酵素CheBは,細胞極の受容体クラスターに局在することが知られており、さらに我々はその局在量が受容体クラスターの活性を反映していること見出した(Fukuoka et al. 2024 Sci. Adv.)。我々は、CheBの局在変化を指標として、走化性刺激の強度や回数に対する大腸菌の受容体活性化の程度、持続時間などの定量解析を試みている。その中で計測・解析の効率化のため、同一視野内の数百の細胞を同時に解析可能なハイスループット解析系を開発した。本コロキウムでは、このハイスループット解析系のアルゴリズム、ならびに、複数回の忌避刺激に対する大腸菌の忌避応答の定量化など、ハイスループット解析系によって得られた結果を議論する。
