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FBSコロキウム 372回免疫細胞生物学研究室

講演

肝内門脈近傍のマクロファージは腸内細菌の侵入に対する炎症反応から臓器を守る

宮本 佑[免疫学フロンティア研究センター|特任助教]

日時 2024年11月19日(火)12:15〜13:00
場所 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室
言語 日本語
世話人

箭原 康人(准教授)
E-mail:yyahara[at]icb.med.osaka-u.ac.jp
TEL:06-6879-3881

肝内門脈近傍のマクロファージは腸内細菌の侵入に対する炎症反応から臓器を守る

肝臓と腸管は、門脈と呼ばれる血管を介して繋がっている。したがって、腸管で吸収された栄養素だけでなく、腸内細菌やその関連物質もまた、この門脈を通って速やかに肝臓に送り込まれる。肝臓は常日頃、腸から炎症誘導性の刺激を受けている。本発表者らは、生体イメージングとシングルセル解析を駆使して肝臓の玄関口である門脈の周囲に高い貪食処理能をもつ免疫制御性マクロファージサブセットが局在することを発見した。このマクロファージはスカベンジャー受容体Marcoと抗炎症性サイトカインIL-10及びIL-1RNを高発現しており、門脈域に入っていた物質を貪食処理しながら周囲の炎症反応を制御する能力をもつことを明らかにした。さらに、Marco下流パスウェイはこのマクロファージの抗炎症機能を司っていることを明らかにし、この分子をノックアウトすると抗炎症性サイトカインの発現が低下し門脈域で炎症が惹起されやすくなることを確認した。さらに、Marcoノックアウトマウスに実験的腸炎を誘導すると、移入してきた細菌に反応して門脈域で激しい炎症が惹起され、原発性硬化性胆管炎様の症状(門脈・胆管周囲の線維化)がみられた。以上の結果から、門脈域に局在する免疫制御性マクロファージサブセットは腸から侵入してくる細菌に対する生体防御と適切な免疫制御を担っていることが示唆された。

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