FBSコロキウム 373回産業科学研究所
講演 |
2液混合シリアルフェムト秒結晶構造解析による酵素触媒反応の可視化 岡島 俊英[生体分子反応科学研究室|准教授] |
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日時 | 2024年11月26日(火)12:15〜13:00 |
場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
岡島 俊英(准教授) |
2液混合シリアルフェムト秒結晶構造解析による酵素触媒反応の可視化
タンパク質からなる酵素は生命活動を実質的に支える分子マシンであり、化学反応を常温で高効率に触媒し、生物に必要な物質の生合成と代謝を行なっている。酵素の作用機構を理解するためには、準安定な複数の反応中間体状態の構造と動きを原子レベルで理解することが必須である。そのためには、常温において酵素が機能するミリ秒レベルでの構造解析が必要であり、X線自由電子レーザー(XFEL)を用いた2液混合シリアルX線結晶構造解析(MISC)とよばれる手法が開発されている。MISCでは、微細結晶と基質溶液を連続的に混合することで触媒反応途上の状態を作り出し迅速に回折測定することで、その可視化を可能にしている。その結果、我々の研究グループは銅アミン酸化酵素を対象に天然に近い結晶状態での酵素の動きを明らかにすることができた。酵素タンパク質の動きを本質的に理解する基礎的な研究は、薬剤開発や有用酵素の設計を含め、様々な応用への基盤になると考えており、今回のセミナーにおいて、最新の成果を紹介したい。