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FBSコロキウム 370回神経回路形成研究グループ

講演

LIMホメオボックス遺伝子が制御する小脳プルキンエ細胞の軸索ガイダンス

杉尾 拓飛[神経回路形成研究グループ|大学院生(D2/D5)]

日時 2024年11月5日(火)12:15〜13:00
場所 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室
言語 日本語
世話人

白崎 竜一(准教授)
E-mail:shirasaki[at]fbs.osaka-u.ac.jp
TEL:06-6879-4638

LIMホメオボックス遺伝子が制御する小脳プルキンエ細胞の軸索ガイダンス

小脳の情報処理の要であるプルキンエ細胞が構築する神経回路は、運動制御や高次脳機能発現だけでなく、様々な精神・神経疾患にも関与することから、その形成機構は歴史的にも古くから齧歯類のマウスやラットをモデルとして盛んに研究されてきた。しかしながら、それらの多くが生後に進行するプルキンエ細胞の樹状突起発達やそこへの入力回路に関係するものであり、胎生期に進行するプルキンエ細胞の軸索による出力回路形成については手付かずの状態で不明であった。私たちは最近、胎生期マウスのプルキンエ細胞を遺伝学的な手法により軸索伸長の初期から選択的に可視化させる技術を開発することで、プルキンエ細胞の軸索伸長過程の詳細を明らかにすることに成功し、プルキンエ細胞の軸索による回路形成の解析を可能とさせる実験系を確立させた。そこで私たちはこの実験系を用いて、プルキンエ細胞の軸索が構築する神経回路の形成機構を分子レベルで明らかにする研究に取り組んできた。ここでは特に、これまでの神経回路形成の研究から明らかとなってきた原理の一つとして、神経細胞のクラス特異的な軸索ガイダンスの過程で発現している転写調節因子が、その軸索ガイダンスの分子プログラム発現を制御していることに着目した。具体的には、軸索伸長期のプルキンエ細胞に発現している転写調節因子に対して、CRISPR/Cas9によるLoss-of-functionスクリーニングを行い、プルキンエ細胞の軸索ガイダンスに重篤な異常が生じる転写調節因子を見出す戦略を取った。本セミナーでは、LIMホメオボックス遺伝子ファミリーに属するLhx1とLhx5が、プルキンエ細胞の軸索ガイダンスにおいて重要な役割を担っていることを見出したので紹介する。

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