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FBSコロキウム 365回ミトコンドリア動態学研究室

講演

オートファジーによるtRNA分解と修飾ヌクレオシドの細胞外排出〜現象から分子理解へ

久保田 満聖[ミトコンドリア動態学研究室|5年一貫制博士課程5年次生、日本学術振興会特別研究員DC1]

日時 2024年10月1日(火)12:15〜13:00
場所 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室
言語 英語
世話人

岡本 浩二(准教授)
E-mail:okamoto.koji.fbs[at]osaka-u.ac.jp
TEL:06-6879-7970

オートファジーによるtRNA分解と修飾ヌクレオシドの細胞外排出〜現象から分子理解へ

RNAは遺伝子発現を担う細胞内分子であり、転写後に多様な修飾を受けることで機能を獲得する。またRNAの合成と分解も適切な遺伝子発現に重要である。特に機能不全や余剰のRNAを分解し、質と量を管理することで正常な遺伝子発現に寄与すると考えられている。近年、RNA分解に細胞内の膜輸送系であるオートファジーが関与することが報告された。オートファジーは二重膜からなるオートファゴソームによって細胞内構成成分を包み込み、加水分解酵素を豊富に含むリソソーム(酵母では液胞)へと輸送し、内容物を分解する。飢餓状態の酵母において、rRNAやmRNAがオートファジーによって分解され、分解産物のヌクレオシドや核酸塩基が細胞外に排出される。しかしながら、RNA分解とその分解産物排出の機構には不明な点が多く残されている。例えば、tRNAがオートファジーによって分解されるかは明らかでない。RNA分解は、様々な転写後修飾が残存した「修飾ヌクレオシド」を生じる。修飾ヌクレオシドは核酸合成やヌクレオチド合成に再利用できない不要物とされており、積極的に細胞外へ排出されると考えられているが、修飾ヌクレオシドの細胞外排出の分子機構はほとんど未解明である。

我々はtRNAの分解とtRNA由来ヌクレオシドの排出を解析するため、酵母の培養液中の修飾ヌクレオシドに着目した。さらに、約5,000株の非必須遺伝子欠損酵母ライブラリーを用いたゲノムワイドスクリーニングを行い、細胞外の修飾ヌクレオシドが減少しているnex(nucleoside export)変異体を多数同定した。本コロキウムでは、これまでに明らかになったtRNAのオートファジー分解様式と、細胞膜ABCトランスポーターNex1の修飾ヌクレオシド排出における機能を紹介する。

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