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FBSコロキウム 360回1分子生物学研究室

講演

IL-6シグナル伝達のマルチプレックスイメージング

藤田 恵介[理化学研究所生命機能科学研究センター細胞シグナル動態研究チーム|研究員]

日時 2024年7月2日(火)12:15〜13:00
場所 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室
言語 日本語
世話人

有賀 隆行(准教授)
E-mail:ariga.fbs[at]osaka-u.ac.jp
TEL:06-6879-4611

IL-6シグナル伝達のマルチプレックスイメージング

細胞は、細胞状態に応じて外部情報をシグナル伝達ネットワークにエンコードすることで、文脈に応じた応答を可能にする。この過程は、分化や発生などの生物学的過程において重要な役割を果たす不均一なシグナル応答を引き起こす。しかし、この不均一性を生み出す分子メカニズム、そして不均一性を制御する方法は明らかでない。IL-6は、炎症、免疫応答、造血において多面的に機能し、がん細胞においてはSTAT3を介した上皮間葉転換(EMT)を引き起こし、腫瘍の進行を促進する。本研究では、IL-6によって誘導される不均一なシグナル応答の分子メカニズムを明らかにするために、4iと呼ばれるマルチプレックスイメージング技術を用いて、IL-6刺激後の肺がん細胞(A549)のシグナル応答と細胞状態を観察した。コンピュータビジョンと機械学習を用いて、30以上のタンパク質の空間分布から抽出された特徴をクラスタリングすることにより、IL-6刺激条件下でERKとSTAT3の活性化の間に細胞状態に応じた負の相関があることを確認した。また、薬剤を用いたERK活性化後のシグナル伝達ノードの相関分析は、リン酸化ERKがJAK2のキナーゼ活性を低下させ、リン酸化STAT3の低下を引き起こすことを示唆している。私たちのマルチプレックスイメージングを用いた単一細胞解析は、JAK2のキナーゼ活性がIL-6シグナル伝達の不均一なシグナル応答の重要な要素であり、IL-6シグナル伝達の不均一性を制御する方法を示唆している。

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