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FBSコロキウム 352回1細胞神経生物学研究室

講演

環境の酸素情報が温度応答多様性を生み出す神経回路の解析

岡畑美咲[1細胞神経生物学研究室|特任研究員(日本学術振興会特別研究員RPD)]

日時 2024年4月23日(火)12:15〜13:00
場所 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室
言語 日本語
世話人

堀江 健生(教授)
E-mail:horie.takeo.fbs[at]osaka-u.ac.jp
TEL:06-6105-5247

環境の酸素情報が温度応答多様性を生み出す神経回路の解析

温度は生物にとって最も重要な環境因子の一つである。動物の温度応答メカニズムを解明するために、世界各地で単離された線虫C. elengans多型株を用いた。オーストラリア産株は新しい温度に早く馴化するが、ハワイ産株は新しい温度に馴化するのに時間がかかる(Okahata et al., JCPB, 2016)。次世代DNAシーケンサー解析とSNP解析により、この温度馴化多様性を決定する原因遺伝子多型としてVH遺伝子を同定した。VH遺伝子は酸素受容ニューロンで発現していた。これまでに、環境の酸素情報が温度受容ニューロンの温度応答性に影響を与えることで温度馴化が変化することを報告している(Okahata et al., Science Advances, 2019)。そこで、酸素受容ニューロンからの酸素情報がVH遺伝子を介して温度受容ニューロンの温度応答性に影響を与えるのではないかと考えた。VH変異体の温度受容ニューロンの温度応答性を測定したところ、野生株と比較してVH変異体は温度応答性が低下していた。さらに、酸素受容体の変異体においても温度応答異常がみられた。酸素情報が温度応答多様性を生み出すかどうかを調べるため、異なる酸素濃度下で飼育した多型株の温度馴化を測定した。オーストラリア産株とハワイ産株を高い酸素濃度下で飼育すると温度応答に違いがみられたが、低い酸素濃度下ではみられなかった。これらのことから、環境の酸素情報が温度応答多様性を生み出すことが示唆された。

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