FBSコロキウム 345回初期胚発生研究室
講演 |
マウス着床前胚発生過程における細胞分化と細胞競合のライブイメージングによる解析 下條 博美[初期胚発生研究室|助教] |
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日時 | 2023年12月19日(火)12:15〜13:00 |
場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
下條 博美(助教) |
マウス着床前胚発生過程における細胞分化と細胞競合のライブイメージングによる解析
マウス着床前胚発生過程では、胚盤胞期に内部細胞塊から将来胚体となるエピブラストと胚体外組織になる原始内胚葉への二つの細胞系譜へと分化する。この過程では細胞増殖、分化、細胞死が並行して起こり、最終的に多能性因子を高く発現する十数個のエピブラストが生み出され、それらが胚体の一部に集合し、原始内胚葉はエピブラストを取り囲むように配置され、時空間的に非常に厳密に制御されている。エピブラストと原始内胚葉が分化する過程においては細胞競合により低品質の細胞が取り除かれるが、「いつ、どの細胞が、どのように」取り除かれるのか、ということについては不明な点が多い。そこで私たちは、エピブラストと原始内胚葉の細胞系譜を可視化するためのレポーターマウスを作製し、細胞増殖、細胞分化、細胞移動、細胞死を生きた胚において観察することによって、ばらつきのある前駆細胞から均一な細胞集団が用意される機構の解明に取り組んでいる。内部細胞塊の個々の細胞における多能性因子の経時的な発現変化と細胞運命、細胞配置を捉え、特に敗者細胞として排除される細胞と、その周辺細胞の多能性因子の発現動態との関係を明らかにすることを目指している。