FBSコロキウム 341回心生物学研究室
講演 |
大脳の発生発達におけるDNAポリメラーゼβ依存的能動的DNA脱メチル化の役割 菅生 紀之[動物実験施設・特任准教授] |
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日時 | 2023年11月7日(火)12:15〜13:00 |
場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
金子 涼輔(准教授) |
大脳の発生発達におけるDNAポリメラーゼβ依存的能動的DNA脱メチル化の役割
神経細胞の体細胞突然変異を起因とした遺伝子発現変動が精神神経疾患の病因として示唆されていますが、発生機序は不明です。我々はマウス大脳神経細胞の発生分化におけるDNA修復酵素DNAポリメラーゼβ(Polβ)の研究を通じて、エピゲノム調節メカニズムである能動的DNA脱メチル化での役割を発見しました。この過程では、TET酵素活性を起点にDNA鎖切断を伴って5-メチルシトシンを除去し、ギャップにPolβがシトシンを挿入します。その破綻は突然変異誘発や遺伝子発現異常を示し、神経回路形成さらには行動異常に繋がっています。本セミナーでは、エピゲノムの可塑性とそれに伴うゲノム不安定性と突然変異誘発という二面性を持った大脳形成の分子メカニズムを紹介します。