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FBSコロキウム 336回エピゲノムダイナミクス研究室

講演

1.マウス性決定におけるCDYLの役割

岡下 修己[エピゲノムダイナミクス研究室・助教]

2.マウスES細胞におけるH3K9メチル化の機能

前田 亮[エピゲノムダイナミクス研究室・特任助教]

日時 2023年9月26日(火)12:15〜13:00
場所 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室
言語 日本語
世話人

黒木 俊介(准教授)
E-mail:skuroki[at]fbs.osaka-u.ac.jp

1.マウス性決定におけるCDYLの役割

哺乳類において、生殖腺は性的未分化な生殖腺原基から発生し、精巣または卵巣のいずれかに分化します。精巣になるか卵巣になるかの運命決定は、精巣決定遺伝子Sryの活性化および精巣促進因子と卵巣促進因子の発現レベルのバランスに依存しています。最近、エピジェネティックな制御がSryの活性化に重要であることが明らかになりました。しかし、エピジェネティックな制御が、どのようなメカニズムで精巣前駆因子と卵巣前駆因子の発現バランスを制御しているのかは不明でした。CDYLは抑制的ヒストンマークのリーダータンパク質として知られています。我々は、このエピジェネティック制御因子であるCDYLが卵巣促進経路を抑制することにより、マウスの雄性生殖腺の性決定を強化することを見出しました。本コロキウムでは、マウス性決定におけるCDYLの役割を紹介したいと思います。

2.マウスES細胞におけるH3K9メチル化の機能

マウス胚性幹細胞(mESCs)は、異なる遺伝子発現プロファイルを示すいくつかの亜集団から構成されている。そのうち約1%は、2細胞期胚で活性化される遺伝子群(2細胞遺伝子)を発現する2細胞期様態を示す。mESCsの2細胞期化は、ゲノムの恒常性維持に必要な経路であると考えられている一方で、2細胞期遺伝子の長期活性化は細胞死を引き起こす。しかし、mESCsにおいて2細胞期遺伝子の発現を適切に制御する分子メカニズムは解明されていない。ヒストンH3の9番目リジンのメチル化(H3K9メチル化)は、転写が抑制されたゲノム領域を示す代表的なエピジェネティックマークである。最近、我々はH3K9メチル化が2細胞遺伝子を発現抑制するための主軸であることを見いだした。本講演では、mESCsにおけるH3K9メチル化の役割について紹介したい。

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