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FBSコロキウム 321回光物性研究室

講演

逆ミセルを用いた水和水の室温ガラス状態とフレーリッヒ細胞モデルの研究

村上 洋[量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所 主任研究員]

日時 2023年4月18日(火)12:15〜13:00
場所 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室
言語 日本語
世話人

渡辺 純二 准教授
E-mail:watanabe.junji.fbs[at]osaka-u.ac.jp
TEL:06-6879-4602

逆ミセルを用いた水和水の室温ガラス状態とフレーリッヒ細胞モデルの研究

逆ミセルを用いた二つの研究について紹介する。逆ミセルは細胞類似環境の生体分子研究のモデルとなる。最初の話題は、室温で逆ミセルのサイズを小さくしていくとある大きさで、その中に導入したプローブ分子の水和水が液体・ガラス転移を示すという結果である。この結果は細胞中の生体分子反応が希薄水溶液中のそれとは大きく異なることを示唆する。また、水和水のガラス状態は、乾燥や低温のような過酷環境下で生物が代謝機能を抑制するときに鍵となると考えられる。次に、フレーリッヒの細胞モデルの検証研究について話す。フレーリッヒは、半世紀ほど前、細胞中で代謝エネルギーを利用してコヒーレントな電気分極振動(周波数:約0.1 Terahertz)が発生することを理論的に示した。このような振動場の存在は細胞の生体分子反応研究に革新をもたらす。しかし、細胞を対象にした研究では実証に至っておらず、モデルの物理的核心部分の検証をはじめに行う必要がある。そこで、我々は、代謝エネルギーの代わりにマイクロ波を用い逆ミセル中にエネルギー注入し検証研究を行っている。マイクロ波照射下での温度変化測定の結果、液体水に比べて逆ミセル中の水の熱発生効率が一桁以上高いことが分かった。この異常な熱発生はフレーリッヒ凝縮のような動的な転移現象に起因するのではないかと考えている。

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