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研究セミナー トランスポゾンを排除する大規模ゲノム再編機構

講演

片岡 研介 博士[基礎生物学研究所・クロマチン制御研究部門]

日時 2023年3月16日(木)16:00-17:00
場所 生命システム棟2F セミナー室
世話人

廣瀬 哲郎(生命機能研究科・RNA生体機能研究室)
Tel: 06-6879-4675
E-mail: hirose.tetsuro.fbs[at]osaka-u.ac.jp

生物のゲノムには、トランスポゾンなどの転移能を持つ外来性のDNA配列が潜んでおり、これらが転移し増幅することで、生物の多様性が生み出されている。一方で、このトランスポゾンの気ままな活動はホストの恒常性にとって重大な脅威となる。生物は、何世代にもわたるトランスポゾンとのいたちごっこのようなせめぎ合いの歴史を通じて、ホストゲノムを守るための仕組みを発達させてきた。多くの真核生物は、小分子RNAの相補性を利用してホストのゲノムに入り込んだトランスポゾンを見つけ出し、ヘテロクロマチンと呼ばれる凝縮した高次クロマチン構造に閉じ込めることによって、その活動を抑制している。一方、一つの細胞内に小核と大核と呼ばれる二種類の核を維持する繊毛虫類は、真核生物が共通して持つヘテロクロマチンを利用したトランスポゾンの抑制システムをさらに発展させ、有性生殖の過程でトランスポゾンDNAをゲノムから完全に取り除くという、究極的な大規模ゲノム再編のシステムを進化させてきた。本セミナーでは、繊毛虫類の中でも最も研究が進んでいるテトラヒメナの巧妙な仕組みを最新の知見とともに紹介し、大規模ゲノム再編を担うヘテロクロマチンの形成機構と動態制御の機構について議論したい。

【参考文献】
1) Noto*, Kataoka* et al. Moll Cell 2015
2) Kataoka & Mochizuki Dev Cell 2015
3) Kataoka et al. PNAS 2016
4) Kataoka & Mochizuki J Cell Sci 2017


 

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