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FBSコロキウム 311回細胞内膜動態研究室

講演

1.細胞を“健康”に保つオートファジーの仕組みの解明

田端 桂介[細胞内膜動態研究室(吉森研)・助教]

2.寿命に影響するオートファジーとその制御機構の謎に迫る

塩田 達也[細胞内膜動態研究室(吉森研)・生命機能研究科大学院D4]

日時 2022年10月20日(木)12:15〜13:00
場所 Zoomでのオンラインセミナーとなります:参加に必要なミーティングリンク、ID、パスワードは事前に、関係者へメールにてご連絡致します。
言語 日本語
世話人

濱﨑 万穂 准教授
TEL:06-6879-4856
E-mail:hamasaki[at]fbs.osaka-u.ac.jp

1.細胞を“健康”に保つオートファジーの仕組みの解明

オートファジーは、細胞内の成分をリソソームに運んで分解する細胞内の仕組みである。オートファジーには、細胞成分を少しずつ入れ替えたり栄養が不足したときにエネルギーを確保したりするための「非選択な分解」過程と、損傷を受けたミトコンドリアなどの細胞内小器官(オルガネラ)や、細胞内に侵入した病原体や凝集した異常蛋白質などの「選択的な分解」過程が存在することが知られている。本セミナーでは、非選択・選択的オートファジーの二つを取り上げる。(1)非選択オートファジー過程の最上流では、ULK1タンパク質複合体がオートファジー開始に重要であり、その開始部位に集積することが必要だが、そのメカニズムは不明だった。我々は、関連因子のスクリーニングからULK1の膜局在を直接制御する酵素を新たに発見し、膜局在の分子機構を明らかにしたので紹介する。(2)選択的オートファジーでは、細胞内のリソソームが損傷すると、オートファジーにより分解・除去されることを我々はこれまでに明らかにしている。しかし損傷したリソソームがどのように認識され選択的オートファジーの標的となるかは不明だった。最近の解析から、E3リガーゼであるCUL4A複合体が、損傷リソソーム上のLAMP2タンパク質をユビキチン化することで損傷リソソームが認識され、選択的オートファジーによって分解・除去されることを見出した(Teranishi H. and Tabata K., et al., Cell Rep. 2022)。本セミナーではオートファジーの概要とこれらの知見を紹介したい。

2.寿命に影響するオートファジーとその制御機構の謎に迫る

生物の寿命は積極的に制御された生命現象の一つであることが分かりつつあり、これまでにインスリン/IGF-1シグナルや生殖細胞除去など、進化的に保存された寿命延長経路が存在することが明らかになってきた。我々は以前、これらの経路で共通して必須であり、寿命延長の鍵となりうる因子として転写因子MML-1/Mondo A同定した。MML-1は複数の寿命延長経路で活性化され、細胞内自己分解システムであるオートファジーの活性化を介して生物の寿命延長に寄与している。長寿個体におけるMML-1/MXL-2の活性化は全身で起こるが、どの組織のMML-1/MXL-2の働きが寿命制御に関与しているかは分かっていない。また、MML-1/MXL-2によるオートファジーの活性化、ならびに寿命の延伸がどのような下流メカニズムを介しているかも不明である。 そこで我々は、 線虫C. elegansを用いたMML-1の組織特異的な解析を行い、特定組織のMML-1/MXL-2が全身の老化・寿命を制御していることを見出した。さらに、組織特異的なMML-1/MXL-2のトランスクリプトーム解析を実施し、特定組織のMML-1/MXL-2を起点としてnon cell autonomousに働く新規の寿命制御シグナルカスケードを同定した。本発表では、このMML-1による組織間コミュニケーションを介した寿命制御機構の詳細を紹介したい。

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