FBSコロキウム 289回認知脳科学研究室
講演 |
もう一つの視覚処理経路:迅速な顔表情処理を実現するメカニズム 林 燦碩[認知脳科学研究室(藤田研究室)・ 博士課程4年] |
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日時 | 2021年12月23日(木)12:15〜13:00 |
場所 | Zoomでのオンラインセミナーとなります:参加に必要なミーティングリンク、ID、パスワードは事前に、関係者へメールにてご連絡致します。 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
藤田 一郎 教授 |
もう一つの視覚処理経路:迅速な顔表情処理を実現するメカニズム
ヒトを含む霊長類にとって顔の表情は社会生活における重要な視覚情報である。表情に関わる視覚情報処理は扁桃体へ至る2つの経路を通して行われる。1つは霊長類で発達した大脳皮質の腹側視覚経路(大脳皮質経路)であり、もう1つは、より原始的な大脳皮質下の経路(皮質下経路)である。大脳皮質経路が時間をかけ詳細に顔表情を処理するのに対し、皮質下経路は素早く粗く処理する。先行研究が豊富で広く知られた大脳皮質経路とは異なり、皮質下経路は近年ようやくその存在が認められつつある。本コロキウムでは、まず皮質下経路に関する解剖学的・電気生理学的知見を紹介した後、我々のモデル研究の結果を紹介したい。我々の結果は、皮質下経路の処理の粗さは構成脳領野の少なさだけでなく初期層の受容野構造と収斂範囲にも由来することを示唆した。