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FBSコロキウム 286回免疫細胞生物学研究室

講演

肝臓内のマクロファージによる空間的に不均一な免疫制御

宮本 佑[免疫細胞生物学・大学院生]

日時 2021年11月25日(木)12:15〜13:00
場所 Zoomでのオンラインセミナーとなります:参加に必要なミーティングリンク、ID、パスワードは事前に、関係者へメールにてご連絡致します。
言語 日本語
世話人

菊田 順一
E-mail:jkikuta[at]icb.med.osaka-u.ac.jp
TEL:06-6879-3881

肝臓内のマクロファージによる空間的に不均一な免疫制御

肝組織は門脈の周辺領域と中心静脈の周辺領域に区域分けできる。これらの領域の環境面の違いとして、門脈域では豊富な酸素や栄養素が利用できるが、中心静脈域ではこれらの濃度が低いことがわかっている。また、細胞の機能的な違いとしては、肝細胞、内皮細胞、肝星細胞などの常在細胞の機能や性質が領域によって異なっていることが近年続々と報告されている。特に、高いエネルギーを必要する細胞機能は門脈域の細胞でみられる。免疫細胞による免疫応答もまた、エネルギーをたくさん必要とする生命現象であるが、免疫システムが領域によって異なるかどうかはこれまで知られていなかった。そこで我々は、2光子励起顕微鏡を用いた生体イメージング技術、空間的トランスクリプトーム解析技術、1細胞トランスクリプトーム解析技術を組み合わせることで、各領域の免疫システムのダイナミクス、免疫細胞の構成、個々の細胞の特徴を解明することに成功した。その結果、門脈域と中心静脈域の免疫システム制御の違いが明らかになった。さらに本解析によって、各領域には異なる機能を示すマクロファージが存在しており、これにより空間的な免疫応答の不均一性を生み出していることを新たに発見することができた。本講演では、肝組織内のマクロファージが領域ごとに免疫システムをどのように制御しているのか、その分子メカニズムと生理学的意味について我々の最新の研究成果を紹介する。

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