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FBSコロキウム 275回医化学研究室

講演

心臓特異的ミオシン調節キナーゼのサルコメア収縮性と構造における影響

櫃本 竜郎[大阪大学大学院医学系研究科医化学講座・大学院生(M3)]

日時 2021年7月15日(木)12:15〜13:00
場所 Zoomでのオンラインセミナーとなります:参加に必要なミーティングリンク、ID、パスワードは事前に、関係者へメールにてご連絡致します。
言語 日本語
世話人

塚本 蔵 准教授 
Tel:06-6879-3492
E-mail:tsuka[at]medbio.med.osaka-u.ac.jp

心臓特異的ミオシン調節キナーゼのサルコメア収縮性と構造における影響

我々は心臓移植に至った重症心不全患者の心臓組織の遺伝子発現を精査し、重症度の指標である肺動脈圧と正の相関を示す遺伝子を探索した結果、心臓特異的に発現する新規遺伝子として心臓特異的ミオシン調節キナーゼ(cMLCK)を発見して報告した(Takashima S et al. JCI. 2007;117:2812-2824)。cMLCKはMYLK3遺伝子によってコードされ、心筋型ミオシン調節軽鎖(MLC2v)を特異的にリン酸化することで、心筋サルコメアの収縮増強作用と構造維持に関与する。MYLK3遺伝子をノックアウトしたマウスでは心筋収縮性の低下による心不全を発症すること、ヒトの不全心筋にてMLC2vのリン酸化レベルが著明に低下していることから、生体でのcMLCKを介したMLC2vのリン酸化の心筋収縮の生理学的モジュレーターとしての意義が注目されている。しかし、ヒトの心不全病態における、cMLCK活性の意義は未だに不明である。近年我々は、拡張型心筋症(DCM)の家系においてMYLK3のフレームシフト変異(Pro639Valfs*15)を同定したが(Hodatsu A et al. ESC Heart Fail. 2019;6:406-415)、この変異による機能的な影響は解明されていない。そこで本研究では、ヒトのDCM家系で初めて同定されたMYLK3 変異(Pro639Valfs*15)のcMLCK活性、心筋サルコメア構造、および心機能に与える影響を評価し、ヒトの心不全におけるcMLCKの重要性を解明する。

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