FBSコロキウム 240回1分子生物学研究室
講演 |
PIP2-PTENポジティブフィードバックは細胞極性を安定化する 好岡大輔[医学系研究科] |
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日時 | 2020年6月11日(木)12:15~13:00 |
場所 | Zoomでのオンラインセミナーとなります。参加に必要なサインイン情報等は前日までに、関係者へのメールにてアナウンス致します。 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
橘木修志(1分子生物学研究室) |
PIP2-PTENポジティブフィードバックは細胞極性を安定化する
細胞がある方向に運動するためには、まず細胞内で空間的に非対称なシグナルを形成する必要があります。細胞内で非対称な局在を示す主要なシグナル分子の一つとして、イノシトールリン脂質であるPI(3,4,5)P3が知られています。PI(3,4,5)P3が局在した細胞膜領域では仮足形成が促進されるため、この領域が細胞の「前側」となります。一方で、PI(3,4,5)P3シグナルの抑制因子であるPTENは細胞後部に局在し、PI(3,4,5)P3をPI(4,5)P2に変換することで、細胞後部における仮足形成を抑制します。しかし、PTENと脂質が非対称な空間パターンを形成するメカニズムの詳細は未だよくわかっていません。そこで我々はPTENと脂質の間に働く相互作用関係を解明するために、人工脂質膜に結合したPTENを1分子レベルでイメージングできる新たな計測法を開発しました。これにより、PTENの酵素産物であるPI(4,5)P2がPTENの膜結合を安定化するという正のフィードバック機構が明らかとなりました。さらに、この正のフィードバックが細胞極性を安定化し、直進性の高い効率的な細胞運動をもたらすことを実証しました。