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FBSコロキウム 233回生理学研究室

講演

微細構造体膜に発現するイオンチャネルと作用分子

竹内裕子[生理学研究室]

河合喬文[医学系研究科]

日時 2019年11月28日(木)12:15~13:00
場所 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室
言語 日本語
世話人

竹内裕子(生理学研究室)
Tel: 06-6879-7996
E-mail: hiroko[at]fbs.osaka-u.ac.jp

微細構造体膜に発現するイオンチャネルと作用分子

細胞膜上のイオンチャネル機能についてはこれまで様々な視点から研究が行われてきたが、鞭毛や線毛など不均一性を有する特殊な構造体ではその実験アプローチの困難さもあって、その役割は未知の部分が多く残されている。本コロキウムでは、このような特殊な細胞膜環境に存在するイオンチャネルの制御機構を嗅線毛と精子の鞭毛にフォーカスを当て、最新のデータと共に紹介する。嗅細胞線毛は直径100-200nmの微細構造体であり、嗅覚情報伝達カスケードの場でもある。嗅覚情報変化に必要な因子は全てこの線毛上に発現しており、特に情報変換チャネルは高密度に存在する。情報変換チャネルは細胞質のcAMPやCaイオンにより開口するが、線毛内物質の実時間動向については詳細が不明であった。そこで、嗅線毛内での物質動向をFluo-4による細胞質Ca2+シグナルと、パッチクランプによる電流記録を同時に行い、線毛に発現するチャネルの開閉に関する分子機構を検討した。精子は頭部と鞭毛により構成されているが、鞭毛部には独自のイオンチャネル(K+チャネル、Ca2+チャネル)が発現していることが既に明らかになっている。また、精子においてとりわけ興味深いのが電位依存性ホスファターゼ(VSP)の存在であり、この蛋白質は膜電位依存的にイノシトールリン脂質への脱リン酸化活性を示す。このユニークな膜蛋白質は精子の鞭毛で発現しているが、その生物学的機能は分かっていなかった。本研究では、VSPが他の精子特異的なイオンチャネルを制御し、精子の生理機能に重要な役割を果たしていることを見出したので紹介する。

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