FBSコロキウム 226回免疫細胞生物学研究室
講演 |
関節炎における破骨前駆細胞の同定と解析 長谷川哲雄[免疫細胞生物学研究室] |
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日時 | 2019年10月17日(木)12:15~13:00 |
場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
菊田順一(免疫細胞生物学研究室) |
関節炎における破骨前駆細胞の同定と解析
骨破壊を担うユニークな多核細胞である破骨細胞は、骨髄で骨の恒常性維持に重要な役割を果たす一方、関節リウマチでは関節の病的な骨破壊を惹起する。これまで数多くの研究が骨髄・脾臓・血液中の単球系細胞を探索し、破骨前駆細胞の同定が試みられてきたが、病変の主座である「炎症滑膜」における細胞の詳細な解析は、技術的制約により困難であった。今回我々は、関節炎モデルマウスにおける滑膜組織を単離するプロトコールを独自に用いることで、滑膜—骨境界領域において著明な破骨細胞分化能を有する破骨前駆細胞サブセットを同定した。シングルセル解析を用い、この細胞集団の一部が実際に病原性破骨細胞へ分化することが示唆され、特徴的なサイトカインに対する反応性が示された。さらなる本細胞集団の解析が、今後の新たな治療標的の同定につながることが期待される。