FBSコロキウム 220回染色体生物学研究室
講演 |
CCAN-セントロメア結合の細胞周期依存的な制御とその役割 渡邉励人[染色体生物学研究室] |
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日時 | 2019年9月5日(木)12:15~13:00 |
場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
堀哲也(染色体生物学研究室) |
CCAN-セントロメア結合の細胞周期依存的な制御とその役割
遺伝情報を担う染色体は、細胞周期のS期において複製された後に、M期において娘細胞へ正確に分配される。この正確な染色体分配は、染色体上のセントロメア領域に形成されるキネトコアと呼ばれる巨大タンパク質複合体が、紡錘体微小管と結合することにより遂行される。キネトコアの構造やその機能に欠陥があると、染色体分配に異常が起き、その結果、細胞のがん化などが引き起こされる。そのためキネトコアの構造・機能を理解することは、「正確な染色体分配がどのように保障されるか」という、生物学における根源的な問いの1つを明らかにするために重要である。これまで、キネトコアと微小管との結合を制御する機構は詳細に解析されてきた。一方で、キネトコアとセントロメアとの結合については、近年、報告が増えてきているものの、まだ不明な点が多い。キネトコアを構成するタンパク質複合体の中で、CCAN(constitutive centromere-associated network)は、セントロメアと直接結合し、細胞周期を通じてセントロメア上に局在する。この局在は、CCANの1つであるCENP-Cが、細胞周期を通じてセントロメアクロマチンと安定に結合するためであると考えられてきた。しかしながら、我々はニワトリとヒト細胞を用いた解析により、CENP-Cとセントロメアクロマチンとの結合は、細胞周期の進行に伴い、ON/OFFされるという驚くべき結果を見出した。本セミナーでは、この細胞周期依存的なCENP-Cとセントロメアクロマチンとの結合を制御する分子機構について、最新の知見を報告する。さらに、CENP-Cを介したCCAN-セントロメア結合の染色体分配における必要性が、生物種ごとに異なるという興味深い結果を得ており、それについても議論したい。