FBSコロキウム 162回染色体機能制御研究室
講演 |
ヒストンH3K9メチル化酵素複合体の新機能 川上慶[染色体機能制御研究室] セントロメア形成の限定メカニズム 石井浩二郎[染色体機能制御研究室] |
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日時 | 2017年5月31日(水)12:15〜13:00 |
場所 | 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
世話人 |
石井浩二郎(染色体機能制御研究室) |
ヒストンH3K9メチル化酵素複合体の新機能
真核生物の染色体には、遺伝子の発現が活性化された領域(ユークロマチン)と不活性化された領域(ヘテロクロマチン)が存在します。ヘテロクロマチンの形成には、ヒストンH3の9番目のリジンがメチル化修飾(H3K9me)を受ける事が重要で、その仕組みは分裂酵母からヒトまで広く保存されています。今回、私たちはH3K9me修飾酵素を含むタンパク質複合体が、H3K9メチル化酵素複合体としてだけでなく、H3K9の脱メチル化酵素を分解するE3ユビキチンリガーゼ複合体として機能することを発見しました。本発表では、ヒストンメチル化酵素が脱メチル化酵素を分解するという、単純かつ新しいモデルについて議論したいと思います。
セントロメア形成の限定メカニズム
各染色体にセントロメアが単一存在することはゲノムの安定継承に不可欠です。しかし、セントロメアはエピジェネティックに規定され、新規クロマチン領域にも形成可能です。この性質はゲノムの安定継承には両刃の剣ですが、新規セントロメア形成の抑制と許容のメカニズムはよく理解されていません。私たちは今回、新規セントロメア形成は細胞核構造を介して適度に限定されていることを見出したので報告します。