FBSコロキウム 208回1分子生物学研究室
講演 |
運動する細胞における前後極性の自己組織化 松岡里実[1分子生物学研究室] |
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日時 | 2019年4月18日(木)12:15~13:00 |
場所 | 吹田キャンパス 生命機能研究科 生命システム棟2階 セミナー室 |
言語 | 日本語 |
世話人 |
橘木修志(1分子生物学研究室) |
運動する細胞における前後極性の自己組織化
細胞は一様な環境下でランダムな方向に運動する自発運動を示す。細胞内シグナル伝達を介した前後極性の形成は、細胞外からの方向情報の入力を必ずしも必要とせず、細胞内で自発的に起こる。こうした自発的な対称性の破れが顕在化する例として、細胞性粘菌のアメーバ細胞における前側シグナル伝達分子PIP3(フォスファチジルイノシトール3,4,5-3リン酸)の進行波が挙げられる。進行波のような細胞内での分子の集団運動は、確率的に反応し拡散する分子からどのようにして発生するのだろうか。我々は、1分子イメージングによって生きた細胞内で1分子を可視化して反応・運動の統計解析を行い、得られた定量データを用いて数理モデルを構築する研究に取り組んできた。本発表では、イノシトールリン脂質代謝系と低分子量Gタンパク質Rasの興奮性によって自発的な対称性の破れが起こる仕組みについて紹介する。