月田研究室 Tsukita Lab.(生体バリア細胞生物学研究室:Laboratory of Barriology and Cell Biology)

研究テーマ

5. システム細胞生物学

気管多繊毛上皮細胞におけるTJ-アピカル複合体の役割

多繊毛上皮の規則的繊毛配列のメカニズム、について、主に、東京大学石原秀至研究室と共同研究を進めています。

アピカル膜の繊毛基底小体の配列秩序化形成過程のモデル化と理論解析

気管上皮アピカル面のライブイメージングや摂動実験をもとに石原研究室では、以下のようなスキームでモデルの構築を進めました (図参照)。

気管多繊毛上皮細胞における規則的繊毛配列メカニズムの整理

(1)アピカル面を細胞骨格による活性をもつ流体とみなして、active hydrodynamicsに基づく細胞骨格の”Active flow”を基盤とする。
(2)基底小体を(1)の中に浮かび、相互作用によって移動する円筒粒子とする。このモデルでは、基本的に(1)の流体がパターン形成を司る。細胞骨格の収縮力と重合-脱重合を、流体の活性と見なし、この2つのパラメータに応じて一様濃度、スポット、ストライプのパターンが現れる。

このパラメータ変化によるパターンの遷移は、実験の摂動実験(例:Nocodazole処理によるストライプの消失)とも整合性が認められました。また、平面内細胞極性(Planer cell polarity; PCP)の細胞膜にそった非対称な局在を境界条件としてモデルに取り込むことで、PCPがどのように基底小体の方向性を決定するかについても仕組みを提案し、数理モデルを用いてデモンストレーションしました。同時に、私共で得られた画像の解析方法(例:微小管などの直線性の高いものを選択的にフィルタリングする手法など)を石原研究室が開発し、実験データの解析を進めました。

極性形成モデルの構築

アピカル微小管格子の秩序化と、それに伴う繊毛基底小体(BB)の配列メカニズムに迫ることが出来ました。しかし、PCPの下流で起こっていると考えられるBBの一方向性の確立についての検討は不十分と考えられます。私共では、マルチカラーライブイメージングを試行中で、上記のモデルを発展すると同時に、新たなフレームワークの導入を含めた検討を開始しています。

さらに、純粋な数理シミュレーションの視点から、大阪大学MMDS鈴木貴研究室との共同研究を進めています。