・被写界深度について

次に,被写界深度について説明しましょう.
これは,カメラでの撮影を考えてもらえるとわかりやすいのですが,
 近くから遠くまでピントが合っている写真
 ある一定の距離のみピントが合っている写真

とあることがわかります.
たとえば,風景写真などは,遠くの山から,近くの川までピントが合っていますね.
逆に,ポートレート写真などは,人物だけに焦点が合っていて,背景はぼけているものが多いです.

このピント(焦点)のあう範囲のことを被写界深度といいます.
でも,待ってください.レンズの結像においては,1点から発せられた光は,1点に集まる,と説明しました.

なのに,近くから遠くまでピントが合うのはおかしくありませんか?
確かにそうなのですが,レンズの収差などから,1点から発せられたすべての光が1点に集光する,ということは非常に難しいのです.
それに,我々が,焦点が合っている,と感じるのにはある程度の許容範囲があります.
なにもジャスピンでなくてよいのです.

上の図で,R,程度のぼけ程度なら,薄緑のエリアの光を焦点が合っている,とするのです.
この,薄緑の厚みを,被写界深度,と定義します.

では,どの程度の位置の物体が焦点が合うことになるのか,光線を逆に進んでいきましょう.

このように,焦点があう位置は,赤いAから青いA,までの範囲に存在する物体となります.
では,この範囲は何を変化させることによって変わるのでしょう?

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