パワースペクトルの実際の作業内容-05

 パワースペクトル

 

Labviewにおいては以下のアイコンを利用します

オートパワースペクトル

なぜ,”オート”なのかは不明です..

面白いことに,ヘルプを見ると,

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パワースペクトルは、単側パワースペクトルを返します。
入力信号がボルト(V)の場合、パワースペクトルは電圧の二乗(Vrms2)の単位で表されます。

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パワースペクトルの縦軸の単位は,V2/Hz,だったはず...

たぶん,想像ですが,離散的な確率分布となるために,dfを掛けたものになっているのではないかと想像できます.

ただ,今後,異なるdfの波形を合成することもあり,以下に示すスペクトルはdfで割ったものとなります.

 

・一様ホワイトノイズ

前ページで作成した実波形,
 サンプル(サンプル数):2048
 振幅         :1
 dt(このアイコン内での設定ではないですが) : 0.5 ms

で生成した波形に対して,
 FFTサンプル数 : 2048
でパワースペクトルを計算すると,

となります.左右とも同じデータで,右図は両対数をとっています.

両対数プロットではなんとか周波数によらない一定のパワーの様子が見て取れますが,かなりノイジーです(ノイズのノイズ?).

この,ノイズのノイズ,は複数回加算平均をとることで減らすことができます,パワースペクトルは位相情報を持たないので,加算しても本来のノイズ情報が失われないからです.

1,000回加算平均をとると,

と,かなりクリアな,周波数によらない一定の値となる結果となります.

この平均値は,0.000333 (V2/Hz),と計算できますので,全積分(単側パワースペクトルなので,0~∞)をとると,

\(\Large \displaystyle <パワー密度> = 0.000333 \)

\(\Large \displaystyle df = \frac{S_{freq}}{n} = \frac{1}{S_{time}} = \frac{0.0005}{2048} = 0.9766\)

\(\Large \displaystyle f_{number} = \frac{n}{2} =\frac{2048}{2} = 1024\)

となるので,

\(\Large \displaystyle <x^2>=<パワー密度> \times df \times f_{number} = 0.000333 \times 0.9766 \times 1024 = 0.333 \)

前ページの計算結果と一致します.

 

・ガウスホワイトノイズ

 サンプル(サンプル数):2048
 標準偏差       :1
 dt(このアイコン内での設定ではないですが) : 0.5 ms

で生成した波形に対して,
 FFTサンプル数 : 2048
でパワースペクトルを計算すると

となります.左右とも同じデータで,右図は両対数をとっています.

一様ホワイトノイズと同様に,両対数プロットではなんとか周波数によらない一定のパワーの様子が見て取れますが,かなりノイジーです(ノイズのノイズ?).

1,000回加算平均をとると,

この平均値は,0.001001 (V2/Hz),と計算できますので,全積分(単側パワースペクトルなので,0~∞)をとると,

\(\Large \displaystyle <パワー密度> = 0.001001 \)

\(\Large \displaystyle df = \frac{S_{freq}}{n} = \frac{1}{S_{time}} = \frac{0.0005}{2048} = 0.9766\)

\(\Large \displaystyle f_{number} = \frac{n}{2} =\frac{2048}{2} = 1024\)

となるので,

\(\Large \displaystyle <x^2>=<パワー密度> \times df \times f_{number} = 0.001001 \times 0.9766 \times 1024 = 1.001 \)

と設定した標準偏差の二乗と一致します.

ガウスホワイトノイズなので,ブラウン運動様式なのかと最初思っていましたが,”ガウス分布に従う直近の記憶によらないゆらぎ”,なのでホワイトノイズ様になるのでしょう.

(非マルコフ,というのだろうか?)

 

・逆fノイズ波形

1/fノイズ(ピンクノイズ)を生成するために,
 サンプル(サンプル数)            :2048
 ノイズ密度(これはよくわかりません...) :0.1
 指数(たぶん,f^(-n)のnのこと)      : 1
 dt(このアイコン内での設定ではないですが) : 0.5 ms

で生成した波形に対して,
 FFTサンプル数 : 2048
でパワースペクトルを計算すると

となります.左右とも同じデータで,右図は両対数をとっています.

一様ホワイトノイズと同様に,両対数プロットではなんとか周波数によらない一定のパワーの様子が見て取れますが,かなりノイジーです(ノイズのノイズ?).

1,000回加算平均をとると,

となり,両対数プロットをとると,直線状に減衰していることがわかります(高周波では寝てきている理由はわかりません).

直線エリアのみで近似してみると,

と低周波領域が若干外れていますが,傾きが,-1.00387,となり,1/f,で減衰していることがわかります.

 

このように,パワースペクトルを計算することにより,ゆらぎの大きさ(分散),減衰の傾き,などを推定することができます.

では,次に両対数プロットをとったところの問題点,解決策を考えていきましょう.

 

 

 

 

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