RLC回路におけるステップ応答-04
RC回路からの内部抵抗測定
内部抵抗
内部抵抗があるので(波形発生器,コンデンサに),
\( \Large \ \tau = ( R + R_{sys} ) C \)
となります.
\( \Large \ R + R_{sys} = \frac{ \tau}{C} \)
\( \Large \ R = \frac{ \tau}{C} - R_{sys}\)
とRとτとの関係を求めれば,
傾き:1/C
切片:-Rsys
となります.
実験結果
実際に可変抵抗とコンデンサをもちいて測定してみました.
可変抵抗: ~4.77 kΩ
コンデンサ: 331 (330 pF), 102 (1 nF), 103 (10 nF)
です.
τとRのプロット
τとRをプロットしてみると,
となり,
C(公称, pF) | C(推定値, pF) | Rsys (推定値, Ω) |
331 | 322.6 | 44.96 |
102 | 974.4 | 41.17 |
103 | 8752.3 | 82.51 |
と,なんとなくいいような悪いような値となりました.
103が余りよくない結果ですね......
よく見ると,抵抗値が大きいデータで若干傾き(1/C)が高めに出ている感じです.
そこで,103のみ,1kΩ以下の値で再検討すると,
となり,
C(公称, pF) | C(推定値, pF) | Rsys (推定値, Ω) |
331 | 322.6 | 44.96 |
102 | 974.4 | 41.17 |
103 | 9413.6 | 49.12 |
と,前よりより公称値と近い値となり,内部抵抗もいい感じになりました.
しかし!,データを都合よく選んで解析するのは公正性に欠ける行為です!
とはいえ...切片を求める際には,より精度が高いデータは原点近くなので,原点から遠い(高い抵抗値)のちょっとしたずれが大きく影響することには間違いありません.
そこで,対数を取ってみることにしました.
対数によるプロット
\( \Large \ \tau = ( R + R_{sys} ) C \)
の両辺の対数を取ります.
\( \Large \ ln \tau = ln \left( ( R + R_{sys} ) C \right) = ln ( R + R_{sys} ) + ln C \)
となり,適当なRsysを設定すれば,τの対数とトータルの抵抗の対数との間に直線関係が生まれ,その切片がCの対数となります.
このRsysの値によって直線関係が変化しますので,ここ,と同様にソルバーを使って見ました.
すると,広い範囲の抵抗値の間できれいな直線関係となり,
C(公称, pF) | C(推定値, pF) | Rsys (推定値, Ω) |
331 | 295.33 | 59.80 |
102 | 824.97 | 59.80 |
103 | 9037.36 | 59.67 |
と妙に,内部抵抗の値がほぼ同一となりました.
それに対して,コンデンサの推定値が公称より外れているような...
内部抵抗の値の値がほぼ等しいのは,
コンデンサ内の内部抵抗はほぼ0である
波形発生器の内部抵抗を示している
でなんとなく理解できそうな.....
残念ながら,どの近似方法が最適なのか(リニアで近似か,対数で近似か)は現時点では判断つきません.
ご存じの方はぜひ推してください.