RLC回路におけるステップ応答-02
R回路からの内部抵抗測定
一番単純な回路,R回路について考えていきましょう.
対象となる回路は,以下に示すものです.
とかなり単純になります.
しかし,見かけないRsysという抵抗があります,これが発信器の内部抵抗です.
直列回路においては,どこを見ても電流,I,は一定ですので,オームの法則により,
\( \Large V = R_{total} \times I = ( R_{sys} + R_1) \times I \)
となります.それぞれの電圧は,
\( \Large V = ( R_{sys} + R_1) \times I = R_{sys} \times I + R_1 \times I = V_{sys} + V_1 \)
と表すことができます.
今回の目的は,Rsys,を求めることで,計測可能なパラメータは,V,V1,R1,となります.
今回は,R,の抵抗に可変抵抗を用いてプロットしてみました.
内部抵抗の求め方_1
そこで,式を変形すると,
\( \Large I = \frac{V}{ R_{sys} + R_1} \)
より,
\( \Large V_1 = R_1 \times I = R_1 \times \frac{V}{ R_{sys} + R_1}= V \times \frac{R_1}{ R_{sys} + R_1}\)
となります.さらに変形して,
\( \Large V_1 \times R_{sys} + V_1 \times R_1 = V \times R_1 \)
\( \Large R_1 = R_{sys} \frac{V_1}{V-V_1} \)
となり,測定したRとV,V1との関係をプロットすると傾きがRsysとなるわけです.
しかし,実際に計測してみると,思いがけないことが起こりました.
それは,入力電圧であるVによって直線関係にならないことがあることです.
具体的には,実際のRsys,V1を使って上記の関係式においてVをちょっと変えると以下のグラフのようになります.
このように,黄色あたりがよい直線関係でこの方向きからRsysを見積もれるのですが..
そこで,エクセルのソルバー機能を活用して,V自体を推定してよい直線関係を求めると,
となり,よい直線関係(V=0.2029)になり,その傾きは,56Ω程度,波形発生器の公称値,50Ωとほぼ一致することが分かりました.
微妙なずれは....分かりません.
内部抵抗の求め方_2
別のプロット方法も考えてみました.
\( \Large V_1 = V \times \frac{R_1}{ R_{sys} + R_1}\)
この式の両辺の逆数を取ります.
\( \Large \frac{1}{V_1} = \frac{1}{V} \times \frac{R_{sys} + R_1}{ R_1} = \frac{R_{sys}}{V} \cdot \frac{1}{R_1} + \frac{1}{V} \)
となり,\( \Large \frac{1}{V_1} \)と\( \Large \frac{1}{R_1} \) とが直線関係にあり,
傾き:\( \Large \frac{R_{sys}}{V} \)
切片:\( \Large \frac{1}{V} \)
となります.
実際にプロットしてみると,
ときれいな直線関係になります.傾き,切片から,
V:0.2043 V
Rsys:53.86 Ω
同じ結果を異なる近似曲線で推定したものですが,まあまあ50Ω程度にはなりました.
逆に言うと,それ以上の数Ωの精度は今回のR回路からは内部抵抗を正確に導き出すのは難しいのかな?と感じました.
どちらの解析がより真実に近いか....分かりません...