回折-32

ナイフエッジからの回折-32

 

次に,ナイフエッジからの回折を計算してみましょう.

この計算は,
 光学入門
の本を参考にしました.また,フレネル積分については,
 高校数学の美しい物語
 フレネル積分の計算
などを参考にしました,ありがとうございます.

一般論

まずは,適当な形状を通過する光を考えましょう.

XY平面に任意の形状の穴を設定します.距離Rだけ離れた投影面の任意の座標(x,y)の光強度を求めます.
今回はxのみの一次元で考えます.

 微小開口からの回折-21

と同様に考えます(一次元であり,文字が少し変わってきます)

光の振動数を,ω,とすれば,その波形は,

\(\Large \sin ( \omega t - phase ) \)

となります.

 位相 = 光路÷波長×2π

となるので,

\(\Large phase = \frac{r}{\lambda} \times 2 \pi = k r \)

となります.ここで,k,は波数です.従って,

\(\Large \sin ( \omega t - phase ) = \sin ( \omega t - k r ) \)

となります.光強度をE0,とすると,投影面での強度は距離zに反比例しますので,任意の開口の一部のエリアdSからの発せられる光は,

\(\Large dE = \frac{E_0}{z} \sin ( \omega t - k r ) ds \)

となります.指数表示に変換すると,

\(\Large dE = \frac{E_0}{z} e^{i ( \omega t - k r )} ds \)

となります.

次に,開口の(X, Y)から投影面(x,y)の2点間の距離を求めましょう.ここから少し変わってきます.距離rは,

\(\Large r = \sqrt{ (X-x)^2 + R^2} \)

となります.少し書き換えて,

\(\Large r = R \ \sqrt{ 1 + \frac{(X-x)^2}{R^2}} \)

となります.これを展開すると,

\(\Large r = R + \frac{1}{2} \frac{(X-x)^2}{R} \)

と簡単にできます.したがって,開口部で一元で積分すると,

\(\Large \begin{eqnarray} u(x)
&=& \int_{0}^{\infty} \frac{u_0}{z} e^{i ( \omega t - k (R + \frac{1}{2} \frac{(X-x)^2}{R} )} dx \\
& \fallingdotseq & \int_{0}^{\infty} e^{\frac{i \pi}{\lambda R} (X-x)^2} dx \\
\end{eqnarray} \)

となります.下の式への移行は,
 定数項を無視した
 波数を波長に戻した

です.

次ページにフレネル積分を導入していきましょう.

 

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