2次元ガウシアン画像の理論計算-01

2次元ガウシアンの積分

 

蛍光顕微鏡で蛍光像の観察を行う際に,重要なポイントは,

 強度を計算したい

という局面が頻繁に出てきます.

その際に,どこまでを積分範囲にするか,という点でいつも悩みます.
と言うのも,ガウス分布なので,いつまでたっても(無限大になっても)強度は理論上0にならないからです.

そこで,一般的に使われるのが,
 σ,もしくは2σまでの積分
です.

一次元の場合は,具体的な計算は,ここ,に記してあるように,
  σ : 68%
 2σ : 95%

と,2σまでの範囲ならほぼよいと考えてもいいことになります.

では,二次元の場合はどのように計算すればよいでしょう?

この数式は,

\( \Large Z= \frac{1}{ \sqrt{2 \ \pi \ \sigma_x^2}} e^{- \frac{(x-x_0)^2}{2 \ \sigma_x^2}} \times \frac{1}{ \sqrt{2 \ \pi \ \sigma_y^2}} e^{- \frac{(y-y_0)^2}{2 \ \sigma_y^2}}\)

で表すことができます.簡単に,原点を0としてx,yのσを等しいとすれば,

\( \Large Z= \frac{1}{ 2 \ \pi \ \sigma^2} e^{- \frac{x^2+y^2}{2 \ \sigma^2}} \)

となります.

では,中心からσまでの範囲での積分はどうなるのでしょうか?

私も勘違いしましたが,

\( \Large \displaystyle \int_{- \sigma}^{\sigma} \int_{- \sigma}^{\sigma} \frac{1}{ 2 \ \pi \ \sigma^2} e^{- \frac{x^2+y^2}{2 \ \sigma^2}} dx dy
= \int_{- \sigma}^{\sigma} \frac{1}{ \sqrt{2 \ \pi \ \sigma^2}} e^{- \frac{x^2}{2 \ \sigma^2}} dx \times \int_{- \sigma}^{\sigma} \frac{1}{ \sqrt{2 \ \pi \ \sigma^2}} e^{- \frac{y^2}{2 \ \sigma^2}} dy \)

としてはいけません!

このままだと,正方形のエリア,を積分してしまうことになるからです.

半径σ内の計算ですので,xとyは独立ではないのです.

その関係は,半径rの場合,

\( \Large x^2 + y^2 = r^2 \)

\( \Large x = \sqrt{r^2 - y^2} \)

となるので,

\( \Large \displaystyle \int_{- \sigma}^{\sigma} \int_{- \sigma}^{\sigma} \frac{1}{ 2 \ \pi \ \sigma^2} e^{- \frac{x^2+y^2}{2 \ \sigma^2}} dx dy
= \displaystyle \int_{- \sigma}^{\sigma} \int_{- \sqrt{\sigma^2-y^2}}^{\sqrt{\sigma^2-y^2}} \frac{1}{ 2 \ \pi \ \sigma^2} e^{- \frac{x^2+y^2}{2 \ \sigma^2}} dx dy \)

となるのが正解です.

しかし!,この最初の定積分で誤差関数を含む式となり,さらにそれを積分となるはとてもややこしいですね....

ですので,極座標で計算してみることにします.

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